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2022.02.16
D-0179. Gapと光の横ずれ — H.S
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ Gapと光の横ずれ 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2022年2月16日号 VOL.179 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、 無料にてメールマガジンとして配信いたします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ こんにちは、営業技術グループの佐々木です。 今回も日々の学びを整理して Output の場としていきたいと思います。 今回は装置仕様である縞感度の範囲について NominalGap とレーザ光の横ずれの観点からお話ししようと思います。 FM-Wafer や FM100、FM200 などの手動機はユーザに縞感度を 1.8~8μm/fringe の中でご指定して使用して頂いています。 その中でもXRA仕様では、 XRAは 1.8~8μm/fringe の中で3段階可変が可能になっております。 この縞感度の最大値が 8μm/fringe の理由の一つとして、 NominalGap の設定やレーザ光の横ずれが関係しています。 FMは斜入射干渉計のため、 サンプルへの入射角度を変更して縞感度を変更しておりますが、 その“縞感度の切り替え時にレーザ光の横ずれが発生”します。 この横ずれにより、測定するウェーハがカメラから フレームアウトしてしまうことから、 装置の縞感度の範囲やNominalGapの設定がされています。 ウェーハがカメラからフレームアウトする状況として、 FM200 で 200mm ウェーハを測定するなど、 測定範囲ぎりぎりのウェーハを測定するときが挙げられます。 FM200 のプリズムの横の長さを 215mm とし、 プリズムの中心と 200mm ウェーハの中心が同じ位置の場合、 ウェーハエッジからプリズムのエッジまでの 横方向の長さは“7.5mm”となります。 横ずれによりウェーハがカメラからフレームアウトする場合、 サンプル面からの反射光がプリズムへ戻ってくる際に、 プリズムのエッジより外側に出てしまっていることが考えられます。 つまりウェーハエッジからの反射光が“7.5mm”以上横ずれすると 測定するウェーハがカメラからフレームアウトすると考えられます。 サンプル面からの反射光がプリズムへ戻ってくる際の横ずれ量をX 、 NominalGap を g 、サンプルへの入射角度をθとした際、 横ずれ量 X の式は以下の通りです。 X = g * tanθ ・・・ (1) 以上より、横ずれ量には NominalGap と 入射角度が影響していることがわかります。 また、入射角度を決める縞感度も影響していることがわかります。 この式を使用して、縞感度が 1.8μm/fringe のように小さい場合と 縞感度が 8μm/fringe のように大きい場合の横ずれ量を算出します。 縞感度が 1.8μm/fringe (LowRange) の場合のサンプルへの入射角度:θl = 79.84° 縞感度が 8μm/fringe (ExtendedRange) の場合のサンプルへの入射角度:θe = 87.73 ° NominalGap = 0.2mm 以上の時、 縞感度が 1.8μm/fringe の横ずれ量: Xl = 1.1mm 縞感度が 8μm/fringe の横ずれ量: Xe = 5.0mm となります。 この結果だけを見るとウェーハサイズ 200mm の測定で フレームアウトが発生するにはまだ“2.5mm”の猶予があると思われますが、 これはプリズムの中心と 200mm ウェーハの中心が同じ位置の場合の条件で、 ウェーハを手動で設置のばらつきやチャックの取り付け位置の ばらつきが 2.5mm 以上のってしまうとフレームアウトが発生します。 またウェーハのソリによるプリズムとウェーハの接触を考え、 NominalGap を広げるとそれだけ横ずれ量が大きくなります。 これも測定範囲ぎりぎりのウェーハを測定するときの フレームアウトの要因となります。 以上より、縞感度の最大値や NominalGap を大きくすればするほど フレームアウトが発生率が高くなります。 このフレームアウトを回避するために、縞感度の最大レンジが決められ、 8μm/fringe の場合でも、最大サイズのウェーハの測定の可能性がある場合は、 フレームアウトが発生しないように、 装置の部品取り付け位置の調整をしっかりと行う必要があります。 様々な要因から装置の NominalGap や縞感度の範囲が 設定されていることがわかりました。 今回は以上です。 最後までお付き合いいただきありがとうございました。 -- H.S