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垂直入射干渉計

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  3. 垂直入射干渉計

1. 干渉とは interference

光には波の性質があります。波は重ね合わせの原理に従って、2つの波の位相がピッタリ合った時には、山と山、谷と谷が重ね合わさり、強め合い(明るくなり)ます。一方で互いの位相が180°異なり、山と谷が重ね合わさった時には弱め合い(暗くなり)ます。

干渉とは

2. フィゾー干渉計 Fizeau interferometer

FlatMasterは、フィゾー式の干渉計を採用しています。(下図は垂直入射のフィゾー干渉計です。)レーザーから出た光は、測定面全体を一括照射出来るよう広げられ、コリメータレンズにより平行光となります。この平行光は、参照平面で反射する光(参照光)と透過する光に波面分割されます。透過した光は、測定面で反射されます(テスト光)。そして、参照光とテスト光が再び重なった時に干渉を起こします。

フィゾー干渉計

3. 垂直入射干渉計 Vertical interferometer

FlatMaster-MSPは垂直入射干渉計です。下図のように、①参照平面で反射した参照光と、②被測定面(平面形状を測りたいサンプル表面)で反射したテスト光の位相差によって干渉の明るさが決まります。この位相差は2本の光が分かれて再び重なるまでの光路長により決まります。この光路長がレーザーの波長の何倍であるかにより干渉が明るくなったり、暗くなったりします。

垂直入射干渉計

参照平面と被測定面のギャップZが波長の何倍であるかを式で表すと、(テスト光の往復分の2を掛けて)

\begin{align}m=\displaystyle \frac{2 \times Z}{λ}\end{align}  [倍]

となります。

a. m が整数 (\begin{align}m=\displaystyle \frac{2 \times Z}{λ}=\end{align} 1, 2, 3, 4…)  → 明るくなる(強め合う)
b. m が整数+0.5 (\begin{align}m=\displaystyle \frac{2 \times Z}{λ}=\end{align} 0.5, 1.5, 2.5, 3.5…)  → 暗くなる(打ち消しあう)
c. m がa、b以外 (\begin{align}m=\end{align} 1.2, 5.4など)  → a,bの間の明るさ

レーザーを全面一括で照射させますので、干渉の結果が各点の光路長差に応じて取得でき、縞のように見えます。これを干渉縞と呼び、隣り合った縞と縞の高低差は一定となり、干渉縞は等高線図と同じように読むことが出来ます。また、この隣り合った縞と縞の高低差を縞感度と言います。

縞感度

垂直入射干渉計の縞感度Sは

\begin{align}S=\displaystyle \frac{λ}{2}\end{align} [μm/fringe]

です。

FlatMaster-MSPはλ=0.830umのレーザー光を採用していますので、縞感度は約0.4μmです。

4. フリンジスキャン Fringe scan

干渉の条件を変え、干渉縞を走査する手法をフリンジスキャンといいます。
時刻t0~t4までフリンジスキャンを行うと、図のように干渉の結果が変わっていきます。これを連続してみると縞が流れているように見えます。

干渉の明るさは

\begin{align}m=\displaystyle \frac{2 \times Z}{λ}\end{align}

のmによって変化します。

この式から、垂直入射干渉計の干渉の条件を変える方法は①参照平面とサンプル表面までのギャップ(Z)を変える、または②レーザー波長(λ)を変えるの2パターンだということが分かります。
FlatMaster-MSPではレーザー波長を0.1nm刻みで変化させ、フリンジスキャンを行っています。

フリンジスキャン

フリンジスキャン

5. 解析手法(ⅰ):位相差解析 Analytical method / Phase difference analysis

FlatMaster-MSPには(ⅰ)位相差解析と(ⅱ)周波数解析の2つの解析手法があります。この項では(ⅰ)位相差解析を説明します。

ある点A点とB点に着目し、時刻t0~t4までのそれぞれの点の明るさをグラフにプロットすると、下記のグラフのようにサインカーブを描きます。A点、B点のサインカーブの位相の差が360°であれば、A点とB点はちょうど隣り合った縞であり、高低差は縞感度分となります。図は90°位相が異なる例です。この場合、縞感度をSとすると、\begin{align}\displaystyle \frac{90^\circ}{360^\circ}=\frac{S}{4}\end{align}だけ高低差があるということが分かります。

6. 解析手法(ⅱ):周波数解析 Analytical method / Frequency analysis

FlatMaster-MSPには(ⅰ)位相差解析と(ⅱ)周波数解析の2つの解析手法があります。この項では(ⅱ)周波数解析を説明します。

フリンジスキャンの開始時、参照平面とサンプル表面ギャップはZs、波長λs、波数ms個とします。また、終了時のギャップはZe、波長λe、波数はme個とします。
測定開始時から終了までの間の明暗のサイクル数は(me-ms)です。

測定開始時は、

\begin{align}ms=\displaystyle \frac{2 \times Zs}{λs}\end{align}

測定終了時は、

\begin{align}me=\displaystyle \frac{2 \times Ze}{λe}\end{align}

よって、明暗サイクル数は

\begin{align}me-ms=\displaystyle \frac{2 \times Ze}{λe}-\displaystyle \frac{2 \times Zs}{λs}\end{align}

となります。

ここで、ギャップ変動の場合と、波長変動の場合を比較してみます。

1) ギャップ変動方式の場合(一般的なフリンジスキャン方法)

λs=λeです。また、Ze=Zs+ΔZとすると、

明暗サイクル数は、

\begin{align} me-ms&=\displaystyle \frac{2 \times Ze}{λe}-\displaystyle \frac{2 \times Zs}{λs}\\[7px] &=\displaystyle \frac{2 \times (Zs+ΔZ)}{λe}-\displaystyle \frac{2 \times Zs}{λs}\\[7px] &=\displaystyle \frac{2 \times ΔZ}{λs} \end{align}

です。

参照平面とサンプル表面のギャップ(Gap1)に依存しないことが分かります。つまり、全ての点で明暗サイクル数は同じということです。

2) 波長変動方式(MSPのフリンジスキャン方法)

Zs=Zeです。また、λe=λs+Δλとすると、

明暗サイクル数は、

\begin{align} me-ms&=\displaystyle \frac{2 \times Ze}{λe}-\displaystyle \frac{2 \times Zs}{λs}\\[7px] &=\displaystyle \frac{2 \times Zs}{λs+Δλ}-\displaystyle \frac{2 \times Zs}{λs}\\[7px] &=2 \times Zs \times \displaystyle \frac{λs - λs - Δλ}{λs \times (λs+Δλ)}\\[7px] &=2 \times Zs \times \displaystyle \frac{λs - λe}{λs \times λe} \end{align}

です。

この式から明暗のサイクル数はギャップZに依存することが分かります。MSP150はこの明暗サイクル数に感度(約27μm/cycle)を掛け、各ピクセルの参照平面と測定点までのギャップを直接求めることが出来ます。

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