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2010.11.10

D-0029. 材料力学(vol.004):保持方法による変形とたわみ曲線 — TT

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材料力学(vol.004):保持方法による変形とたわみ曲線

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「知って得する干渉計測定技術!」
2010年11月10日号 VOL.029

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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「保持方法による変形」シリーズの4回目です。

これまでの3回で、
「応力」、「ひずみ」、「ヤング率」、「中立軸」、「曲げ応力」、
「曲げモーメント」、「断面二次モーメント」、「曲げ剛性」
といった基礎となる考え方をご紹介しました。

023. 保持方法による変形とフックの法則
025. 保持方法による変形と曲げ応力
027. 保持方法による変形とてこの原理


今回は、実際のたわみがどのような曲線になるかを求めるための方程式を導いてみます。

モーメントMによって真っ直ぐな棒がたわんでいる様子を考えます。
数式で表せるように、座標を設定しましょう。
本来の真っ直ぐな棒が横たわる方向を x軸 に取り、
それに直交した下向きの方向を y軸 に取ります。

今、考えているたわんだ棒の曲線(たわみ曲線)を y = f(x) とします。
たわんでいない本来の状態は、y = 0 です。
たわんでいる状態では、x座標を指定すれば、一般に0ではない y の座標が返ってきます。


さて、たわみ曲線f(x)上のある適当な1点 P に注目してみます。
点Pにおける座標を (x,y) とし、Pにおける接線とx軸のなす角をθとしておきます。

点Pからx方向にほんの僅か dx だけズレたf(x)上の点を Q とします。
点Qの座標は、(x+dx , y+dy) となり、Qにおける接線とx軸のなす角は、θ+dθ となります。

ここで弧PQの作る円に注目します。
その円の中心を 点o とし、半径を r とします。

 このとき、∠PoQ はどうなるでしょうか。
 円と2つの接線を描いて、円中心から2本の垂線を下ろしてみます。
 (それぞれの接点が点Pと点Qです。)
 2つの接線の交点は U としておきましょう。

 三角形 PoU と QoU は合同な直角三角形です。
 求めたい∠PoQ を α とおくと、∠PoU = α/2 となり、
 三角形の内角和は 180°なので、∠PUo = 90°-α/2 です。
 従って、∠PUQ = 2×(90°-α/2) = 180°-α となり、
 2つの接線のなす角( 小さい方の角 = 180°-∠PUQ )が α になることが分かります。

 つまり∠PoQ は、2つの接線のなす角 dθ に等しいことが分かります。

これで、弧PQの微小な長さ ds を式で表すことができ、

  ds = -r dθ

となります。もちろんラジアンで考えて下さい。(弧の長さ = 半径×ラジアン)
マイナス符号が付いてしまったのは、点Qで θ+dθ としてしまったためです。
点Pでθなら、点Qのθ+dθはθより小さいはずで、dθが負になるので、
長さdsが正になるためにマイナスが必要です。


dx, dy, ds で囲まれた小さな三角形に注目すると、

  tanθ = dy/dx

であることが分かります。
さらに、その小さな三角形から

  cosθ = dx/ds

も分かります。

さて、ds = -r dθ という式から、

  1/r = -dθ/ds = -(dθ/dx)(dx/ds)

であることが分かります。
ここで、dθ/dx を計算するために、tanθ = dy/dx の両辺を x で微分してみます。

  d^2y/dx^2 = d(tanθ)/dx = ( d(tanθ)/dθ )( dθ/dx ) = ( 1/cos^2 θ )( dθ/dx )  

なので、dθ/dx = (d^2y/dx^2) cos^2 θ です。
従って、

  1/r = -(dθ/dx)(dx/ds) = -(d^2y/dx^2) cos^3 θ 

となります。
今、ここまでで考えてきた状況が弾性変形の範囲だったことを思い出すと、
θはごく小さな角度です。
そこで、cosθをテーラー展開して、cosθ = 1 - θ^2/2! + ... の高次項を落として、
cosθ = 1 としてしまいます。すると、

  1/r = -(d^2y/dx^2)

が得られます。
そして、前回求めた M = EI/r を使って、rを消去してみましょう。

  d^2y/dx^2 = -M/EI

となります。
この方程式を満たす y = f(x) が、モーメントMでたわんだ棒の曲線です。
そして、この方程式に物体の保持方法や外力の加わり具合を条件として与えることで、
実際のたわみ曲線を求めることができるのです。


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高野智暢

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