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2015.11.18

B-0032. X線のメカニズム — AT

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X線のメカニズム

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「高鍋鮎美の三次元測定機って何なの??」
2015年11月18日号 VOL.032

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
 無料にてメールマガジンを配信いたしております。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



こんにちは。


 現在弊社ではX線CT装置TomoScopeの専用サイトをリニューアル中です。

その中でX線CTに関わる用語集というページを設けていまして、
 最近は空き時間を見つけては悪戦苦闘しながら単語とその解説を作っています。

そもそもサイトのリニューアルを考えたきっかけですが、
 毎回お問合せ頂いたお客様や新規デモのお客様には、
 「どのようにしてTomoScopeを見つけて下さいましたか?」
と聞くようにしています。

すると、約6割の方が「ネットでCTに関わる単語を適当に並べて」とおっしゃいます。
あとの4割やご紹介や、展示会、専門誌に載せた記事などからです。

そこで、「それならより初めてのお客様目線で分かりやすいサイトにしよう」と
作り始めたは良いですが、有識者の方から
「Googleの検索に引っかかりやすくするにはページを増やせ」
 「ランキングを上げる為に検索されやすい単語を埋めろ」などと、
 色々アドバイスを頂きまして、関連単語の用語集を作るというところに落ち着きました。


 今回はその中で、X線の発生するメカニズムに関わるところをお伝えしたいと思います。


まずX線とは、
 「波長100~0.1Å程度で、可視光や紫外線より短くガンマ線より長い電磁波の一種」です。
1895年にドイツのレントゲン氏が発見し、未知の線ということで「X線」と名付けたそうです。

X線はX線管という真空管で発生させます。
X線管内には陰極と陽極が存在し、まず陰極側のフィラメントで熱電子が放出され、
 高電圧を受けて加速し、陽極側のターゲットに衝突することで発生します。

ちなみに発生するX線は特性X線と連続X線の2種類が得られます。
 特性X線はフィラメントの材料であるタングステンの特性X線で特定の波長です。
 連続X線はさまざまな波長が混ざっています。


X線CTはX線が物質に当たり、ある程度吸収され、減衰して、
 残って出てきたエネルギーの値を検出していますが、
X線にさまざまな波長が混在しているということは、サンプルに照射したときに、

①低周波数、高周波数のX線とも透過する場合、
②低周波数はサンプルに吸収され透過せず、高周波数のX線のみが検出される場合、
③全て透過しない場合

の3パターンが生じます。

①と③は簡単で、①は上手く測定出来ている可能性が高いですし、
③はX線の出力がサンプルの材質と厚みに対して足りなかったので測定出来ないという結果です。

では②の場合ですが、
これは「ビームハードニング」と呼ばれるアーチファクト現状の1つに繋がります。
そして、金属フィルターを使うことで対策が出来ます。

サンプルにX線が当たる前に、
フィルターをかませることにより、予め低周波数のX線をカットします。
すると、高周波数のX線のみがサンプルに当たり、
 減衰して残ったエネルギーを検出器が読み取り、
サンプルがどれくらい吸収したかを計算出来るという仕組みです。


 「ちなみに~」が長くなってしまいました。元に戻ります。


TomoScopeではユーザー様に3ヶ月に1度のフィラメント交換作業をさせて頂いています。
 先に書いたようにX線管の陰極側にあるフィラメントというタングステンで出来た部品で
熱電子が発生しますので、この部品は消耗が激しく、定期的な交換が必要です。

また最大で190kVや225kVが掛かるエネルギーの方向を制御するために
「グリスアップ」という絶縁を保つ為の作業も同時にしています。


これが陰極側の話で、次に陽極側ですが、
 陽極側でポイントとなるターゲットには2種類あります。

 「透過型」と「反射型」というもので、その名の通り、
 透過型はターゲットが薄い板状になっていて、X線はこれを透過して進みます。
 一方で反射型はフィラメントから出た電子が当たって、
X線が反射してサンプルの方向に進むので、ある角度を持っています。

もともとTomoScopeは全て反射型で、透過型は新しい技術です。

X線のスポットサイズは、熱電子がターゲットに当たった時の径を言いますが、
 反射型において、スポットサイズは電力エネルギーが大きくなればその分大きくなります。
 因みに電力は電流×電圧ですが、TomoScopeで電力は像の明るさ、電圧は透過力を意味します。

 従って、反射型の装置で金属を測定する場合など、スポット径は大きくなりがちです。

 一方で、透過型であれば、225kVであってもサブマイクロフォーカスが可能です。
(理由を書きたいところですが、Werth社独自の技術が多いようで、
ここでは企業秘密としておきます。)


X線というと危険なイメージであったり、
 構造が見えにくくブラックボックスのような感じがしますが、
 少しずつ分解して理解していくと、
 他の測定機とそう変わりないのかなという気がしてきます。

 遅ればせながら用語集の作成を良い機会にして、
もっと深く理解していこうと思います。

 今週も、最後までお読み頂いて、ありがとうございました。 


--
A.T

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