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2022.07.13

A-0137. 線形独立と一意性 — T.T

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線形独立と一意性

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2022年7月13日号 VOL.137

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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線形独立(一次独立)という概念は、
数学的に物事を考える場面で、とても重要な基礎となる考え方です。


ベクトル X, Y, Z が「線形独立」であるとは、

  αX + βY + γZ = 0 (ゼロベクトル)

という式が α = β = γ = 0 のときに限って成り立つことです。
ここで、α, β, γ は、数(スカラー)です。

線形独立ではないときは、「線形従属」と言います。
つまり、α, β, γ の中に 0 でないものがあるときです。

線形従属の場合、例えば α≠0 のとき、
0 ではない数で他の数を割ることができるので、

  X = (-β/α)Y + (-γ/α)Z

とすることができます。


今、X, Y, Z が線形独立で、
それに V を加えた X, Y, Z, V が線形従属になるとします。
このとき、

  αX + βY + γZ + δV = 0

という式を作ってみると、δ≠0 であることが言えます。

それは、もし δ=0 であれば、αX + βY + γZ = 0 となり、
X, Y, Z が線形独立であることから、
α = β = γ = 0 なのですが、
同時に、α = β = γ = δ = 0 となり、
X, Y, Z, V が線形従属という条件に反して
線形独立になってしまうからです。

  何を言っているか分からないかもしれませんが、
  ありのまま 今 起こったことを話すと、

  δ=0 と仮に考えると、線形従属と思っていたら、
  いつのまにか線形独立になっていた ということです。
  (背理法の片鱗を味わって下さい。)


従って、ベクトル V が、
線形独立なベクトル X, Y, Z を使って、

   V = aX + bY + cZ

のように分解できることを示しています。
具体的には、今の場合、

  a = (-α/δ),  b = (-β/δ),  c = (-γ/δ)

です。


続いて、この表現の一意性を示してみます。
そのために、a, b, c という係数で分解できるだけでなく、
s, t, u という係数でも、

  V = sX + tY + uZ

という式のように分解できると考えます。
すると、

  V - V = (a-s)X + (b-t)Y + (c-u)Z = 0

のように計算できます。
そして、X, Y, Z が線形独立なので、

  (a-s) = (b-t) = (c-u) = 0

が言えます。
つまり、

  a = s,  b = t,  c = u

となってしまうので、
2通りの表現を用意したつもりが、同じものであることが分かり、
1通りの表現しかない(つまり、一意に決まる)
ということが示せました。


更に、この表現の一意性は、X, Y, Z が線形独立であることと
同値(等価)であることが示せます。

ゼロベクトルを分解して、

  0 = aX + bY + cZ

と書いてみると、

  aX + bY + cZ = 0X + 0Y + 0Z

で表現できます。これが一意的に決まっているのであれば、
a = b = c = 0 のときに限って aX + bY + cZ = 0 なので、
X, Y, Z は線形独立です。

つまり、

  V = aX + bY + cZ が一意に決まる  ⇔  X, Y, Z は線形独立

が示せたことになります。


ちなみに、一つのベクトルについて考えてみると、

  αX = 0  ⇒  α = 0 (スカラー)  または  X = 0 (ベクトル)

なので、

  αX = 0  かつ  X ≠ 0  ⇒  α = 0

となり、ゼロベクトルではない一つのベクトル X は「線形独立」です。

一方、ゼロベクトルは、α ≠ 0 であっても

  α0 = 0 (ベクトル)

なので、ゼロベクトルは「線形従属」です。


今回書いた内容は、数学のあらゆる分野で顔を出す基礎ですが、
ここで使ったロジック(証明)それ自体が楽しいものです。


--
高野智暢

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