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2022.02.09

A-0132. 三角形の重心 — T.T

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三角形の重心

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2022年2月9日号 VOL.132

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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三角形の重心は、数学で感動を味わえる題材の代表格です。

もし、三角形の重心のことを、
重さの中心であり、その点で吊り上げるとバランスする点
という「性質」だけを覚えているのであれば、

感動を味わえるチャンスです。

感動という主観によるものを解説するというのは
野暮なことですが、

感動を多くの人と共有したいと思う気持ちは、
人間の欲求の一つだと思います。


さて、三角形の重心の定義を書くと、
「3本の中線の交点を重心と呼ぶ」です。

  (中線 = 三角形の頂点とその向かい合う辺の中点を結んだ線分)

定義には重さとかバランスとかは含まれていません。

  定義から出発して、性質を証明しながら導いていく
  という演繹の方向は、数学の常套手段ですが、

  定義を作るというのも数学の重要な方向です。
  (多くの性質から帰納する方向です。)

定義を憶えて、演繹の方向だけやっていると、
味わえない楽しみがあるので、
どうしてそのような定義になったのかとか、
そもそもどうしてそのように名前を付けたのか
というのを考えると楽しいです。

  数学で好きな用語を挙げると、例えば、
  「芽」「茎」「根」があります。
  植物の部分のような名前です。

  「根」は、多項式方程式の解のことで、
  ルート(root)の日本語訳です。
  平方根 や 立方根 と言う時の 根 です。

  芽 や 茎 は 層 の理論を勉強すると出てきます。


そこで、「重心」という名前についても考えてみます。

「重心」という用語の定義を
「重さがバランスする点」としても良いはずです。
そもそもこれが「重心」という一般的な言葉の定義です。

すると、「3本の中線の交点」のことを別の名前に
定義する必要があります。
例えば、「G点」と命名します。

結果として、
「G点」=「重心」が証明できる(これは感動ポイントの一つ)ので、
「三角形の重心」という場合の「重心」という用語の定義を
「G点」と同一視して、置き換えるのです。

  抽象化 や 同一視 も数学の常套手段です。
  リンゴ 3個 と ミカン 3個 の 3 という共通性質を抽出することで、
  もはやリンゴやミカンを考えなくても 3 を考えられるようになります。

  「重心」に関しては、定義すら忘れてしまっても、
  性質だけ覚えて使うことができるということが起こります。


「重心」という用語について、思ったことを書き連ねるだけで、
長くなってしまいましたが、

おそらく、最も感動するポイントは、

「どんな三角形を持ってきても、3本の中線が必ず 1点で交わる」

という事実だと思います。


「三角形には重心という 1点が存在して、それは中線を結ぶことで得られる」
という性質を覚えてしまうと、感動から少し遠ざかります。

  せっかく、脳には忘れるという能力があるので、
  いろいろ忘れましょう。

どんな三角形を持ってきても、2本の中線を引けば、
3本目は必ずその交点を通るのです。
もはや奇跡です。

2本の線で交点を作り、
(その交点を通るように3本目を引くのではなく、)
1本目と2本目と同じ規則に従って3本目を引くと
数ある可能性の中から、必ず同じ交点を通るのです。

証明してみると、確かにそうだと確信できますが、
(人から聞いて覚えるのではなく、自分で証明してみると、)
何かとてつもない真実を知った気持ちになります。


定義を見て、性質(定理)を見て、
えっ本当にそうなの?と思って、
自分で証明してみて、確かにそうだと納得して驚く
というのを繰り返すと、とても楽しめます。

感動すると、次はなかなか忘れにくくなります。


--
高野智暢

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