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2021.05.12
A-0122. ラグランジュ方程式の導出 –T.T
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ラグランジュ方程式の導出
発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/
連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2021年5月12日号 VOL.122
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
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前回は、「ラグランジュの運動方程式」というタイトルだったのに、
その式すら書くことなく、
そのときに思い浮かんだことを書くだけで終わってしまいました。
今度こそ、方程式の導出を(細かい説明抜きに)計算してみます。
まず、ラグランジアン L を用意します。
L は、考えている物理的システムがどんな特徴を持っているかを
表すもの(関数)です。
L が具体的にどんな式かというのは、今は気にしません。
一般的に、L が与えられたときに、どんな方程式を満たすか
という抽象的な議論をしようとしています。
L の入力は、関数 q(t) と その微分 dq/dt と 時間 t です。
それらを入力すると実数が出力されます。
この際、どんな実数が出力されるのかも考えません。
考えたいのは、L を 時刻 t1 ~ t2 まで積分した量:
S = ∫L(q, (dq/dt), t) dt
が最小になる条件は何かということです。
S は、作用と呼ばれるもので、これは q(t) の汎関数になっています。
ここでは、S[q] と書くことにします。
汎関数というのは、関数を入力すると、数値が出力されるものです。
数値を入力すると数値が出力されるものは関数と呼ばれますが、
入力が関数というものは、少し抽象度が高いかもしれません。
また「細かい説明抜きに」という前置きを無視しそうになっているので、
以下、S[q] の停留条件
δS[q] = 0
を計算していきます。
ここで、δS[q] というのは、q を少しだけずらした (q + δq) にした際、
S がどれ位変化するかということなので、
δS[q] = S[q + δq] - S[q]
と書けます。
これを S の定義式に従って書き下すと、
δS[q] = ∫L(q+δq, (dq/dt)+δ(dq/dt), t) dt - ∫L(q, (dq/dt), t) dt
です。
そして、L(q+δq, (dq/dt)+δ(dq/dt), t) をテーラー展開します。
L(q+δq, (dq/dt)+δ(dq/dt), t) = L(q, (dq/dt), t)
+ (∂L/∂q)δq + (∂L/∂(dq/dt))δ(dq/dt) + ...
この展開式を δS[q] の計算式に代入すると、
δS[q] = ∫(∂L/∂q)δq dt + ∫(∂L/∂(dq/dt))δ(dq/dt) dt
になります。
この次は、積分計算を進めるために、部分積分をするのですが、
どこをどうするのかは、答えをすぐに見たい気持ちを抑えて、
今何がしたかったのかを思い起こしながら、式を眺めます。
勉強したばかりだと、答えを覚えているので、スッと計算できます。
でも、やり方を忘れてからが勝負です。
忘れた後に残っている何かが、学習の成果です。
やり方を忘れていても、残っている何かがあれば、
第二項を部分積分したくなります。
境界条件を使いたいのと、第一項の δq で括りたいと思ってしまうのです。
第二項の部分積分は、
∫(∂L/∂(dq/dt))δ(dq/dt) dt
= [ (∂L/∂(dq/dt)) δq ] - ∫d(∂L/∂(dq/dt))/dt δq dt
と計算できます。
このときの [(∂L/∂(dq/dt)) δq] は、境界条件として、
t1 と t2 では δq = 0 なので、0 となります。
従って、
δS[q] = ∫(∂L/∂q)δq dt - ∫d(∂L/∂(dq/dt))/dt δq dt
になり、δq で括って、
δS[q] = ∫{ (∂L/∂q) - d(∂L/∂(dq/dt))/dt } δq dt
となります。
最後は、変分法の基本補題として証明すべきことなのですが、
δq が常に 0 でなければ、δS[q] = 0 とするには、
括弧 {...} の中身が 0 でなくてはならないのは、想像できると思います。
これにより、
(∂L/∂q) - d(∂L/∂(dq/dt))/dt = 0
が導出できました。
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高野智暢

