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2021.04.14

A-0121. ラグランジュの運動方程式 –T.T

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ラグランジュの運動方程式

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2021年4月14日号 VOL.121

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



今回は、単純に(手抜きで)オイラー・ラグランジュ方程式を
導出する計算だけをやってみようと思います。

計算だけをすると宣言をしておいて、さっそく
計算の前置きを書き始めてしまいます。

ラグランジュ方程式は、比較的抽象度が高く、
ある意味、この方程式自体では、物理現象を記述していません。

ラグランジュ方程式からニュートンの運動方程式を導出したら、
ようやく抽象度が下がって、少し具体的になって、物理的な現象を表します。

でも、物理学を学んだ人にとっては、ニュートンの運動方程式は
具体的に感じるかもしれませんが、ニュートンの運動方程式も抽象的です。

もっと抽象度を落とそうと思うと、ニュートンの運動方程式を解いて、
物体の運動する軌跡を式で表す必要があります。

数式の苦手な人にとっては、軌跡の式も抽象的なので、
式を曲線などの幾何学的な図形に具体化して表す必要があります。

図形と現実の運動との対応が抽象的だと思うのであれば、
もはや、その運動をビデオに撮って見るか、実物を見るしかありません。

そんなラグランジュ方程式の発見は、いきなり天から下りてきたものではなく、
ここまでに書いた抽象から具体の逆を辿って来たものです。

つまり、
実物 → 軌跡の図形 → 軌跡の数式 → ニュートン方程式 → ラグランジュ方程式
という具合です。

では、そのラグランジュ方程式の哲学はというと、最小作用の原理です。
つまり、乱暴な言い方ですが、
自然現象は、何だか知らないが作用 S というものがあって、
それが最小になるように決まるという原理です。

そして、その作用 S は、ラグランジアン L という関数の積分で書けます:

  S = ∫L(q, (dq/dt), t) dt

ただし、この積分は定積分で、時刻 t1 ~ t2 を走ります。


一通り、物理学の全体像を学んだ上で、この式から始めると、
何をしたいのかが分かりますが、
いきなりこの式から始めると、何のことやらさっぱりです。

そんな抽象度の高いところからスタートする教科書が、
ランダウ&リフシッツの理論物理学教程です。
ランダウ教徒の自分の本棚にも10冊セットが並んでいますが、
その1巻の2ページ目がこの数式です。

ニュートンの運動方程式やエネルギーという概念よりも先に、
ラグランジアンです。
なかなか衝撃的な教科書ですが、ファンが多いようです。

人類の歴史的には、抽象度の高い概念が後に構築されていきますが、
ショートカットするには、抽象度の高い概念から、
より具体的なものに落としていく方が良いです。

一旦、ラグランジュの運動方程式を理解してしまえば、
電磁気学のマクスウェル方程式も、古典重力場のアインシュタイン方程式も、
量子力学や量子場の理論に至るまで、ラグランジアンからスタートします。


結局、今回は手抜きで計算だけ書こうと思っていたのに、
伝えたい言葉が湧き出してきて、ここまで書いてしまいました。

続きは、また今度書きます。

--
高野智暢

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