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2020.03.11

A-0106. 幾何光学と暗黙知や書き順について — TT

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幾何光学と暗黙知や書き順について

発行:エスオーエル株式会社
http://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2020年3月11日号 VOL.106

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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「学問に王道なし」と言いますが、これは、
ギリシャの数学者ユークリッドが王様に
「もっと簡単に幾何学を学ぶ方法はないの?」と言われたときに、
「幾何学に王道なし」と答えたという話から来ているそうです。

物事を理解するには、どんな人であっても
等しく経なければならない過程があるということですが、
その通りだなぁとよく思います。

今でも、ハイデガーやサルトルやカントといったような
難解と言われている哲学書を時間を掛けて読むことがあります。
結局、何度も読んだデカルトの本に立ち返ることになり、
何度読んでも得ることがあるなぁと感じます。

本に書いてあることは変化していないのですが、
読む自分が変化しているのです。


速読で1日に数十冊本を読むことは可能です。
自分も毎日大量の文章に目を通しますので、
速読という技術の熟練度は別にして、もっと読書量は増やせます。

でも、単に読む本を増やせば良いというものではなく、
何年掛かっても読む価値のある噛み応えのある本に取り組むのは
楽しいし、価値があると信じています。

数学の本にもそのような特徴があります。

読んだり、考えたりした数学のうち、実務で使うのは、1%もないですが、
残りの99%以上は無駄ではなく、定義を確認し、公理から論理的に進めていく
やり方は、まさに実務に活きています。


さて、何かを学ぶときには、その分野の「暗黙知」があります。

幾何光学をやるには、微分とテーラー展開が常識として染み付いていないと
一定の理解度を得るのは難しいのではと思っています。

ルールと知識を覚えて、ある程度機械的に問題は解けるようになるとは思いますが、
sinθ=θ が理解できなければ、表面的な理解です。

sinθ=θ が本を読み進められるレベルに理解できたとしても、
応用時に、高次項の扱いを踏み外すと、実務上の問題は解けません。


幾何光学の作図にも暗黙知があります。
理解してしまった人は、なかなか自分の使っている暗黙知を認識することができません。
その人にとっては当たり前なので、理解できない人に教えることも難しくなります。

作図のルールは簡単です。
空気中に薄いレンズを置いたときは、

 1) 光軸に平行な光線は屈折後に焦点を通ります。
 2) 物側焦点を通る光線は屈折後に平行に出ていきます。
 3) レンズの中心を通る光線は屈折しません。

このうちの2つを使えば作図できます。

さて、幾何光学の本を漫然と読むと、このような基礎も頭に残らない事態が生じます。
速読すれば、読み飛ばしてしまいます。
時間を掛けて読めば、全体を理解する前に前提条件を忘れます。(脳の特性です。)

このルールを覚えても、「薄いレンズ」という言葉が専門用語で、
定義を理解しておく必要があるということを知らなければ、
日常的に使う「薄い」という言葉で、何か分かった気になってしまいます。

屈折はレンズの表面で起こっているはずですが、
この場合、レンズの中心を通り、光軸に垂直な面で屈折した図を描く必要があります。
この意味も、順を追って、理解する人が辿るべき道を通った人でなければ、
分からなくなります。


そして、図を描くときの書き順がとても重要です。
書き順を見れば、その人の理解度や伝えたい内容が分かります。

機械の図面を描く時も基準から描きます。

見よう見まねで本に描いてある絵を覚えただけの人は、
理解に苦しむ書き順になることがあります。

「王道なし」の意味は、時間を掛ければよいという意味ではありません。
でも、時間が掛かります。
何かを理解するために掛かる時間に関しても、暗黙知があります。


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高野智暢

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