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2020.01.08

A-0102. コーシー・シュワルツの不等式の証明 — TT

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コーシー・シュワルツの不等式の証明

発行:エスオーエル株式会社
http://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2020年1月8日号 VOL.102

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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前回は、コーシー・シュワルツの不等式の証明を積み残しましたので、
やってみます。


前回の式は、
 { (x1 - y1)^2 + (x2 - y2)^2 + (x3 - y3)^2 }{ (y1 - z1)^2 + (y2 - z2)^2 + (y3 - z3)^2 }
 ≧ {(x1 - y1)(y1 - z1) + (x2 - y2)(y2 - z2) + (x3 - y3)(y3 - z3)}^2
でしたが、
コーシー・シュワルツの不等式としては、

 ( a^2 + b^2 + c^2 )( s^2 + t^2 + u^2 ) ≧ ( as + bt + cu )^2

を証明すれば良いことになります。



1) ストレートに計算して証明する

証明方法はいろいろありますが、まずは凝ったことはせずに、
与えられた不等式が成り立つことを素直に確かめます。

 ( a^2 + b^2 + c^2 )( s^2 + t^2 + u^2 ) - ( as + bt + cu )^2 ≧ 0

 a^2s^2 + a^2t^2 + a^2u^2 + b^2s^2 + b^2t^2 + b^2u^2 + c^2s^2 + c^2t^2 + c^2u^2
 - a^2s^2 - b^2t^2 - c^2u^2 - 2asbt - 2btcu - 2cuas ≧ 0

 a^2t^2 + a^2u^2 + b^2s^2 + b^2u^2 + c^2s^2 + c^2t^2 - 2asbt - 2btcu - 2cuas ≧ 0

 ( at - bs )^2 + ( bu - ct )^2 + ( cs - au )^2 ≧ 0

 等号成立は、at = bs かつ bu = ct かつ cs = au のとき


ストレートと言えども、最後は上手く因数分解して、二乗の項の和にまとめる必要があります。
そのため、因数分解を見抜く必要があり、コツが必要です。
対称性というか、規則性に気づくと上手くいきます。

このような問題を見たときは、まずは簡単な
 ( a^2 + b^2 )( s^2 + t^2 ) ≧ ( as + bt )^2
を証明してみて、感触を掴んでおくのも良い方法です。



2) ベクトルの内積を使って証明する

コーシー・シュワルツの不等式が使われる事例をたくさん知っていると、
ベクトルの内積と関係が深いことが分かります。
そのため、内積を使った証明が本質を突いていますし、スマートです。

ベクトル X = (a, b, c) ,  Y = (s, t, u) とします。
その内積は、

 X・Y = as + bt + cu = √(a^2 + b^2 + c^2) √(s^2 + t^2 + u^2) cosθ

であり、 -1 ≦ cosθ ≦ 1 なので、

 (as + bt + cu)^2 ≦ (a^2 + b^2 + c^2)(s^2 + t^2 + u^2)

です。
等号成立は、cosθ = ±1 なので、ベクトルXとYが平行なときになります。



3) 判別式を使って証明する

任意の実数 r に対して、

 (ar - s)^2 + (br - t)^2 + (cr - u)^2 ≧ 0

という式を考えます。展開して r の項でまとめると、

 (a^2 + b^2 + c^2)r^2 - 2(as + bt +cu)r + (s^2 + t^2 + u^2) ≧ 0

になります。
a^2 + b^2 + c^2 = 0 であれば、a = b = c = 0 なので、不等式成立です。

a^2 + b^2 + c^2 ≠ 0 であれば、r についての2次式が常に 0 以上なので、
判別式 D が 0 以下 ということになります。
(下に凸な2次関数が常に 0 以上の状況を考えています。)

 D/4 = (as + bt +cu)^2 - (a^2 + b^2 + c^2)(s^2 + t^2 + u^2) ≦ 0

従って、

 (as + bt + cu)^2 ≦ (a^2 + b^2 + c^2)(s^2 + t^2 + u^2)

が示せました。
等号成立は、

 (ar - s)^2 + (br - t)^2 + (cr - u)^2 = 0

のときなので、

 (ar - s) = (br - t) = (cr - u) = 0

と書けます。


上記3つの方法で、等号成立条件が異なるように見えますが、
実は同じことを言っていますので、興味がある方は確認してみて下さい。

コーシー・シュワルツの不等式は、次元を増やしても成り立ちますので、
様々な分野でとても有用なツールになります。


--
高野智暢

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