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2019.11.13

A-0100. n進法とp進数 — TT

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n進法とp進数

発行:エスオーエル株式会社
http://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2019年11月13日号 VOL.100

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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前回は、抽象的な距離の概念について、お話ししました。

さらに一年半前くらいに、実数と完備化について、お話ししました。

今回は、これらに関連して、
かねてから話題にしたかった p進数 に触れたいと思います。


まずは、p進数 ではなく、n進法のお話をします。
なぜ n進法 から始めたいかというと、名前が似ているからです。
混同して「n進法」を「n進数」と呼ぶこともしばしば見受けられます。
この用語を混同しているときは、たいてい「n進法」のことを言っています。
なぜなら、普段「p進数」を話題にする人はめったにいないからです。

  似ているけど、違うものというのは、何かを学ぶときに良いです。
  似ている漢字を憶えるときは、違いに注目するために、脳が活性化します。
  一見学習効率を落とす混乱の元を逆手に取ると、記憶に残ります。

  そして厄介なのは、p進数 と n進法 は別の概念ですが、
  両者を学んでいくと、関連性のあるものだと気づくのです。


さて、n進法 は、「数」を数字という記号で書き表すときの記法です。

数字に慣れてしまうと、数と数字の区別が付かなくなってきますが、
元々は別物で、人間が「対応関係」を理解できるために成せる業です。

n進法の n には、数字を入れますが、
n種類の記号(数字)を使うという意味です。

10進法は、普段よく使うものです。
0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 の 10種類の記号を使います。

2進法 や 16進法 は、コンピュータでよく使います。

例えば、次の黒丸の数を数えてみます。

●●●●●

10進法では「5」です。
2進法では「101」です。



次に、p進数 を紹介します。

よく知っている数の体系は、
自然数 → 整数 → 有理数 → 実数 → 複素数
のように拡張されていきます。

特に、有理数から実数への拡張には、完備化という飛躍が必要です。

完備化には、距離という概念が必要です。
有理数を √2 のような無理数にどんどん「近づけていく」極限操作
によって、有理数の穴を埋めていき、実数 を得ることができます。


このときの距離というのがポイントです。

1/2, 1/4, 1/8, 1/16, ... は 0 に近づいていく
というのは、普通の感覚です。
この距離感覚で完備化すると、実数が出来上がります。


では、2進数 の世界を見てみます。(2進法ではありません。)
この世界では、

2, 4, 8, 16, ... , 2^n , ... が 0 に近づいていきます。

数が大きくなっていくのに 0 に近づくというのはおかしい
と思うのが普通です。でも、そういう距離を考えるのです。

2進数 の距離感覚は、
2で割った余りが等しいもの同士が、等しくないものよりも近い
という測り方なのです。

さらに、4 (=2^2) で割った余りが等しい方がもっと近く、
8 (=2^3) で割った余りが等しければ、なお近いという具合です。


一般に、p進数の距離感覚は、
p, p^2, p^3, p^4, p^5, ... が 0 に近づいていきます。

注目しているのは、割り算の余りが似ているかどうかです。
数のある種の性質を調べるのに便利な距離の測り方なのです。

このように、p という数字を決めて、
ちょっと変わった距離を使って完備化すると、p進数 が出来上がります。


ここからが面白いところなのですが、
p進数 という(n進法とは違う)変なものがありますよ
という紹介が今回の限界です。

2進数の世界でも、足し算、引き算、掛け算、割り算ができて、
1 + 2 + 4 + 8 + 16 + ... = -1
になるよ。とか、

p が素数のときが特別だよ。とか、

実数を小数表記すると、
小数点より左側が有限桁で、右側が無限桁になることがあるけど、
p進数は逆で、小数表記すると、
小数点より右側が必ず有限桁で、左側が無限桁になるよ。とか、

実数の世界では難しい証明が、p進数の世界では証明が簡単になったよ。
とか、

実数とp進数のそれぞれの世界で、問題の解きやすさの得意不得意があって、
お互いの不得意をカバーし合うと、すごいことが起こるよ。とか、

n進法とp進数には実は関連性があって、
特にコンピュータで数を扱うときにいいことがあるよ。とか、

p進数をさらに拡張したものが、実数から作った複素数と同型(対応関係が付く)
ということが分かって驚くけど、
具体的な対応関係が作れないような奇妙なことになっているよ。

とか、、、


深みにはまると、普通の世界には戻って来れなくなりそうですが、
気分転換とか、固定概念を壊して頭を柔らかくする訓練とか、

楽しみ方は人それぞれです。


--
高野智暢

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