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2016.08.10

A-0062. ボイル シャルルの法則 — TT

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ボイル シャルルの法則 
 
発行:エスオーエル株式会社 
https://www.sol-j.co.jp/ 
 
連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 
2016年8月10日号 VOL.062 
 
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 
無料にてメールマガジンを配信いたしております。 
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 
 
 
 
今回は、ボイル シャルルの法則を使ってみます。 
 
公式は、とてもシンプルで、 
気体の圧力 P 、体積 V 、温度 T について、 
 
  PV/T = 一定 
 
というものです。 
 
覚えるのも使うのも簡単ですが、 
その歴史と理論背景は、とても奥が深くて楽しいものです。 
 
 
まず、ボイルさんが 1662年に、 
温度一定であれば、気体の体積が圧力に反比例することを発見します。 
(まだ人類がこのことを知ってから 400年も経っていないのですね。) 
 
そして、ゲイリュサックという人が、1802年に 
圧力一定であれば、気体の体積が絶対温度に比例する 
ことを発表します。 
これをシャルルの法則と呼ぶのは、発表前の1787年に 
シャルルさんが発見していたことによります。 
(ボイルの法則の100年以上後のことです。) 
 
こういう歴史を知ると、 
自分の知識が如何に自分の力で獲得されたものではない 
ことかを思い知らされます。 
 
昔の人の努力と、 
それを現代の自分の知識まで引き継いでくれたつながりに 
感謝と奇跡すら感じます。 
 
このような法則を知らない人に対しても、 
学校で習う常識だなどと軽くみることはできません。 
法則を知らない人には、 
まだそれを知った時の喜びを味わう楽しみが残っています。 
 
むしろ、学校で公式を覚えて常識だと感じている人は、 
その最初の喜びはもう味わうことができないので、 
是非、法則発見の歴史や理論背景を知ることで、 
再認識の驚きを味わって欲しいものです。 
 
 
理論背景は、もっともっと奥が深いです。 
 
この法則は、理想気体では成り立ちますが、 
実在気体ではずれが生じます。 
 
これらを書き始めると、とっても長くなりますし、 
専門書の方がちゃんとまとまっているので、 
是非興味を持って調べてみて下さい 
 
私の役目は、興味をもってもらうきっかけを 
できるだけ楽しく(?)伝えることです。 
 
私自身、この記事を書くことを楽しんでいます。 
 
気体の法則についての関係者の歴史を調べると、 
「アボガドロが関連する法則を発見したのは 1811年か」とか、 
「目に見えない原子や分子を信じて仮説を実証してきた人たちはすごいな」 
「ビリアル展開は、ビリアルという人の名前ではなく、 
 1913ノーベル賞のオネスさんの理論だったの!」 
「1910年ノーベル賞のファンデルワールスさんは、もっと昔の人かと思ってた」 
というように、いろいろ感動します。 
 
 
話をボイル シャルルの法則に戻して、 
X線CT装置 TomoScope で使用されるエアーの消費量を計算してみます。 
 
エアー消費量のスペックは、3000 NL/h です。 
NL は、ノルマルリットルと呼びます。 
これは、標準状態(0℃、1atm)における体積です。 
 
この 3000NL をボイル シャルルの法則にあてはめます。 
 
  T1 = 273.2K,  P1 = 101.3kPa,  V1 = 3000NL = 3 Nm^3 
 
なので、これが、 
 
  (P1 × V1)/T1 = 一定 
 
ということです。 
 
次に、エアーを使用する環境はというと、 
温度 23℃ で、圧力 0.55MPa に圧縮した状態です。 
つまり、 
 
  T2 = 273.2 + 23 = 296.2K, 
  P2 = 101.3 + 550 = 651.3kPa 
  
と書けますが、体積の V2 が未知数です。 
これもボイル シャルルの法則から、 
 
  (P2 × V2)/T2 = 一定 
 
なので、 
 
  (P1 × V1)/T1 = (P2 × V2)/T2 
 
を V2 について解くことになります。つまり、 
 
  V2 = ( 101.3 × 3 × 296.2 )/( 273.2 × 651.3 ) = 0.5 m^3 
 
となります。 
さらに、立方メートル毎分の消費量に直すと、 
 
  0.0083 m^3/min 
 
ということになります。 
 
 
装置がエアーを使うのは、インターロック付き扉開閉と回転軸です。 
 
回転軸のエアーベアリングは、とても滑らかで、 
モーターの連結を外して、手で回してみたことがありますが、 
ちょっと触れるだけで、ほとんど摩擦なく、ずっと回っています。 
 
エアーベアリングを見たときに、 
単なる部品の一つと見るか、 
その背景に気体に関する大きな理論の世界を見るかで、 
楽しみが全然変わってきます。 
 
さらに摩擦のことを考え出すと、ワクワクしますね。 
だいたいは、摩擦に苦しめられる経験をすることが多いのかもしれませんが、 
摩擦も背景に大きな世界を抱えていますので、 
一歩引いて、不思議な現象として興味の目で見ると苦しみも楽しみに変わります。 
 
 
-- 
高野智暢


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