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2016.03.09

A-0057. 非球面レンズの式 — TT

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非球面レンズの式 
 
発行:エスオーエル株式会社 
https://www.sol-j.co.jp/ 
 
連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 
2016年3月9日号 VOL.057 
 
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 
無料にてメールマガジンを配信いたしております。 
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 
 
 
 
最近は、ベアト社のX線CTの TomoScope や 
三次元測定機の VideoCheck UA に 3D-WFP という微細プローブを搭載した 
装置で非球面レンズを測定する機会が増えました。 
 
そのときに必要になる非球面レンズの式をご紹介したいと思います。 
非球面レンズを扱っている方にとっては既知の情報で、 
扱っていない方には不要な情報かとは思いますが、 
お付き合い頂けたらと思います。 
 
実は、トロペル社の干渉計のソフトウェア TMS にも、 
非球面形状の生成やフィットができる機能があります。 
ただし、市場に出ている干渉計は、平面度測定用であり、 
レンズ測定用ではないため、あまりこの機能の応用例はありません。 
 
 
さて、非球面レンズの式を書き下します: 
 
  Z(s) = (s^2/R)/{1 + √(1 - (1+k)s^2/R^2 )} 
                +As^4 +Bs^6 +Cs^8 +Ds^10 +Es^12 +Fs^14 
 
Z(s) は、Sag量と呼ばれ、レンズの光軸に平行な方向への削り量です。 
s は、光軸からの距離なので、y=Z(s), x=s と置くと、xyの座標になります。 
R は、曲率半径で、 
k は、円錐定数と呼ばれるパラメータです。 
そして、sの4次以降の高次項が続きます。 
 
今回は、 
 
  Z = (s^2/R)/{1 + √(1 - (1+k)s^2/R^2 )} 
 
の項に着目して、円錐定数 k を変化させたときの形状がどうなるかを計算してみます。 
 
 
【k = 0】球面 
 
k=0 のときに球面になる様子をみてみます。まず、k=0 を代入してしまいます。 
 
  Z = (s^2/R)/{1 + √(1 - s^2/R^2 )} 
 
後は、頑張って式変形していきます。頑張り具合が分かるように途中計算を書きます。 
 
  Z + Z√(1 - s^2/R^2 ) = s^2/R 
  Z√(1 - s^2/R^2 ) = s^2/R - Z 
  Z^2 (1 - s^2/R^2 ) = (s^2/R - Z)^2 
  Z^2 (1 - s^2/R^2 ) = s^4/R^2 - 2(s^2/R)Z + Z^2 
  s^4/R^2 - 2(s^2/R)Z + (s^2/R^2)Z^2 = 0 
  s^2 - 2RZ + Z^2 = 0 
  s^2 + (Z - R)^2 = R^2 
 
ここまで来れば、y=Z, x=s と置いて、 
 
  x^2 + (y - R)^2 = R^2 
 
となっていることが分かりますので、 
半径 R で、中心 (0,R) の円になっていることが分かります。 
円から光軸を軸にして回転体を作ると、球面になります。 
 
 
【k > -1】楕円面 
 
今度は、k を残したまま式を変形していきます。 
(1+k) > 0 になることを覚えておきます。 
 
  Z = (s^2/R)/{1 + √(1 - (1+k)s^2/R^2 )} 
  Z + Z√(1 - (1+k)s^2/R^2 ) = s^2/R 
  Z√(1 - (1+k)s^2/R^2 ) = s^2/R - Z 
  Z^2 (1 - (1+k)s^2/R^2 ) = (s^2/R - Z)^2 
  Z^2 (1 - (1+k)s^2/R^2 ) = s^4/R^2 - 2(s^2/R)Z + Z^2 
  s^4/R^2 - 2(s^2/R)Z + (1+k)(s^2/R^2)Z^2 = 0 
  s^2 - 2RZ + (1+k)Z^2 = 0 
  s^2 + (1+k)(Z - R/(1+k) )^2 = R^2/(1+k) 
  ((1+k)/R^2)s^2 + ((1+k)^2/R^2)(Z - R/(1+k) )^2 = 1 
 
楕円の式は、 
 
  px^2 + qy^2 = 1 
 
と書けますので、 
 
  x=s, y= Z - R/(1+k), p= (1+k)/R^2, q= (1+k)^2/R^2 
 
と置けば、楕円になっていることが分かります。 
特に、(1+k) > 0 から p>0, q>0 になっていることに注意しておきます。 
球面のときと同様に、楕円を回転させて、楕円面ができます。 
 
 
【k = -1】放物面 
 
k=-1 を代入すれば、 
 
  Z = s^2/2R 
 
になります。ここで、y=Z, x=s, a=1/(2R) と置けば、 
 
  y = ax^2 
 
なので、放物線になることが分かります。 
同様に回転体を作り、放物面になります。 
 
 
【k < -1】双曲面 
 
k>-1 の楕円面の式を流用します。 
k<-1 では、(1+k)<0 になります。 
つまり、p<0, q>0 です。 
これは双曲線になります。そして、双曲線から回転体を作り、双曲面になります。 
 
p=-u, u>0, q=v>0 と置いて、 
 
  -ux^2 + vy^2 = 1 
 
が双曲線です。 
 
 
ちなみに、反比例の式 
 
  XY = b 
 
は、双曲線の一種です。(b≠0) 
座標系を -45°回転みます。つまり、 
 
  X = x cos(-45°) - y sin(-45°) 
  Y = x sin(-45°) + y cos(-45°) 
 
  X =  x/√2 + y/√2 
  Y = -x/√2 + y/√2 
 
  XY/b = -x^2/(2b) + y^2/(2b) = 1 
 
なので、このときは、u = v = 1/(2b) です。 
 
 
今回は、短い記事になると思っていました(実際内容は薄い)が、 
式をたくさん書いたので、思ったよりも長くなりました。 


-- 
高野智暢


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