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2011.03.10

A-0005. X線焦点サイズの影響 –TT

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X線焦点サイズの影響

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2011年3月10日号 VOL.005

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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一般にX線CTスキャンによる3次元像はボケます。
その原因は、いくつも挙げられます。

TomoScopeには、Werth社の60年にも及ぶ経験の中で蓄積された
光学測定や画像処理のノウハウにより、他では真似できないレベルの鮮明な、
しかも寸法測定可能な3次元像を得ることができます。

それをご紹介するには、まずは何故、像がボケるのか説明する必要があります。
今回はその一つとして、X線焦点サイズの影響による像のボケについて取り上げます。


X線CTスキャンの際には、2次元のX線透過画像を何枚も撮像します。

まず、分かり易く状況を設定します。
xy座標を用意し、x=0 の y軸に沿ってスクリーンを置きます。
(x,y)=(400, 0) の点にX線の点光源を置きます。
長さ50mm の棒をその両端が (200, 25) と (200, -25) になるように置きます。
つまり、点光源とスクリーンの丁度中間に棒の中央が y=0 のx軸上となるようにしました。

このとき、スクリーンに投影される像は2倍となり、
(0, 50) と (0, -50) に両端のある長さ100mm の棒がくっきり映ります。

これは、点(400, 0) 及び 点(200, 25) を通る直線が、
点(0, 50) を通ることから確認できます。


さて、X線焦点が点ではなく、拡がりをもっている場合を考えます。
実際、完全な点光源は存在せず、X線焦点にはサイズがあります。

今仮に、焦点サイズが 0.1mm の場合を考えます。
光源の位置は、(400, 0.05) ~ (400, -0.05) に拡がっています。

光源の上の点(400, 0.05) と 棒の一端(200, 25) を通る直線は、
スクリーン上の点(0, 49.95) を通ります。
一方、光源の下の点(400, -0.05) と 棒の同じ一端(200, 25) を通る直線は、
スクリーン上の点(0, 50.05) を通ります。

従って、スクリーンに映る像は、
長さ99.9mm のくっきりした棒と±0.1mm のボケた両端になります。
このボケた±0.1mm のことを「半影」といいます。


これは、倍率を上げるとさらに顕著になります。

同じ棒をその両端が (300, 25) と (300, -25) になるように置きます。
点光源の場合、スクリーンに映る像は、4倍の長さ 200mm になります。
焦点サイズが 0.1mm の場合、半影は ±0.3mm にもなります。


では、焦点サイズが 0.01mm の場合はどうでしょうか。
倍率2倍の位置では、半影 ±0.01mm、
倍率4倍の位置では、半影 ±0.03mm となります。

一般に倍率M のとき、スポットサイズs に対して、半影は ±s(M-1) になります。


このようにX線の焦点サイズは、2次元のX線透過画像の鮮明さに直接影響します。

2次元のX線透過画像を集めて、3次元に再構成するわけですから、
如何に2次元の像を取り込むかが最初のポイントです。

TomoScopeは、焦点サイズをできるだけ小さくできるX線源になっています。

また、2次元像の取り込みにおいても、
長年の画像処理ソフトウェアの蓄積を応用した技術を使っています。


X線CTの世界は奥が深いですが、少しずつ噛み砕いた説明ができればと思っています。


--
高野智暢

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