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2022.03.16

E-0120. TomoScopeの安全性について — M.H

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TomoScopeの安全性について
 
発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/
 
連載「測定の新常識!?SOLがお伝えするノウハウ!」
2022年3月16日号 VOL.120

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 
 
初めまして、2022年1月より入社致しました
営業技術グループの長谷川と申します。
「メルマガを執筆する」という経験はこれまでの社会人経験で全くなく、
初めての挑戦で緊張しておりますが、お付き合い頂けますと幸いです。


少し自己紹介を致します。
私は前職まで自動車用部品の実験業務を担当しておりました。

カーメーカーに向けた製品開発の過程で、製品と実験データを紐づけて
お客様に納品しなければならなかったり、お客様から市場不具合品や
回収品をお預かりして実験したりすることも多々あり、
“非破壊で”製品内部の状態を調査をすることについては
常にニーズがありました。

そういった背景の中で、製品全体の内部観察・測定ができるX線CT装置は
非常に便利で、あらゆるシチュエーションでお世話になりました。
世の中にはなんという便利な装置があるのか!と感動したものです。

そして、そんな私がこうしてWerth社製品のフィールドエンジニアになるとは
当時想像もしておりませんでしたが、
これも何かの巡り合わせなのかなと感じています。

このメルマガを通して、
X線CT装置を始めとする当社の取り扱い製品の便利さを、
少しでも皆様にお知らせできれば幸いです。


さて、本題に入ります。
本日お話するのは「TomoScopeの安全性」についてです。

X線と言われると、便利であると同時に、
安全性について不安を覚える方が多いでしょう。

「そもそもX線って人体にどんな影響があるの?」
「TomoScopeは安全なの?装置の近くで長時間作業するのが不安なんだけど・・・」
こういった疑問・心配が浮かぶのは当然のことです。

私も入社当時はこれが疑問でした。
そこで、X線の人体に及ぼす影響に触れながら、
TomoScopeのX線漏洩対策について、お話致します。


X線とは、可視光線や紫外線よりも波長が短く、かつ原子核外から発生する
電磁波を指し、同時に放射線の一種でもあります。

金属等の密度が高い物質は透過しにくく、
紙や皮膚など密度が低い物質は透過しやすい性質を持ち、
場所によって透過したX線の強度に差が生じることを利用して像を写すことにより、
非破壊で物体や人体の内部を透視することができます。

TomoScopeもこの性質を利用しており、透過後のX線の強度を読み取り、
これをサンプルの360度全周を撮像することで、
測定対象の三次元データを構築することができます。

このように大変便利な性質をもったX線ですが、
先にも述べたように放射線の一種でもあり、
その量や時間によっては、人体に影響があります。

人体が放射線を受けると、電離や励起が生じ、
結果として細胞のDNAが損傷します。細胞のDNAは自然に修復を行おうとしますが、
損傷の仕方次第では不完全な修復となることがあり、それが悪影響となります。


そこで、これらのリスクから労働者を守るため、
放射線を取り扱う装置の使用に当たっては、
法律で安全基準や管理体制の明確化等がなされています。
関連する法律は以下の4つです。

 ・労働安全衛生法
 ・労働安全衛生法施工例
 ・労働安全衛生規則
 ・電離放射線障害防止規則

上記のうち、「労働安全衛生法」は、
あらゆる職場で発生しうる全ての事故や職業病の防止のために制定されています。

更に、放射線による健康障害の防止について特に詳しく規定されたものが
「電離放射線障害防止規定(以下:電離則)」であり、
これは先の「労働安全衛生法」に基づいて制定されています。


電離則全てについてお話しすると膨大なボリュームになってしまいますので、
TomoScopeに関連が深い条文について抜粋してお話します。

まず放射線の障害を防止するため、
電離則第3条1項により「管理区域」の適切な設定が義務付けられています。

具体的には以下の通りです。
 「放射線業務を行う事業の事業者は、次の各号のいずれかに該当する区域
  (以下、管理区域という。)を標識によって明示しなければならない。」
  一 外部放射線による実行線量と空気中の放射性物質による実行線量との合計が
    三月間につき 一.三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域

1.3mSvといわれてもピンとこないかと思いますが、
例を挙げると胸部レントゲン1回で約0.05mSv、
東京-ニューヨーク間を飛行機で1往復で0.2mSv、
人が自然界から受ける年間放射線量が2.4mSvです。

加えて200mSv以下は明らかな悪影響が確認されていないことから、
1.3mSvが厳しい規定値であることが分かります。

管理区域に該当すると、必要がない場合の立ち入りは基本的にできなくなる他、
管理区域内で働くことがある従業員は被ばく量の測定をし、
制限された線量を超えてはいけないのはもちろんのこと、
これらの記録と保管、定期的な健康診断の受診等が義務付けられます。


ではTomoScopeの場合についてははどうでしょうか。

結論から申し上げますと、装置内部は管理区域に該当しますが、
装置外部は該当しません。

以下の装置仕様により、X線の漏洩防止が適切になされているからです。
 ・本体はカバー・扉ともに板厚20mmの鉄製パネル(放射線遮蔽板を挟み込んだもの)
  で覆われており、扉の窓は、板厚15mmの放射線遮蔽ガラスを使用している。
  (これにより装置外部へのX線量は装置表面から0.1mの位置にて 1μSv/h 以下)
 ・メイン扉やメンテナンス扉が正しく閉じられていない状態では、
  X線照射がインターロックにより中止される構造になっている。
 ・非常停止ボタンにより、ただちにX線照射を中止することができる。

また、定期メンテナンス時に弊社エンジニアがX線の漏洩検査を実施しております。
その際に確認される量は、管理区域設定基準の10分の1にも満たない量です。
(東京-ニューヨーク間の飛行機1往復の方が、よっぽど多い量です。)

長くなってしまいましたが、
TomoScopeは安心してご利用いただける装置であることを
これを機に知っていただくことができましたら幸いです。

それでは今回はここまで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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M.H

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