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2021.06.16

E-0109. コーンビームアーチファクト — E.C

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コーンビームアーチファクト
 
発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/
 
連載「測定の新常識!?SOLがお伝えするノウハウ!」
2021年6月16日号 VOL.109

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 
 
皆さん、こんにちは。
営業技術の張です。

今回はコーンビームアーチファクトについて話します。

寸法測定用CT装置の場合、X線で撮影する際、殆どの装置はサンプルを回転させ、
検出器により撮影したデータを収集し、三次元データを再構成しています。

X線の光源は点光源である為、光源を頂点にして、検出器(長方形または正方形)
に対して四角錐状なビームになっています。これはコーンビームと呼ばれています。

コーンビームに関して、既に以前のメルマガで配信されたものがある為、
再度確認したい人は、下記リンクでご参照ください。

  → A-0094.コーンビームの考え方

今回は、コーンビームにより生じるアーチファクについて話します。

例えば、円柱を立てて(線源に対して垂直設置)撮影することを想像します。
平行光線の場合、円筒の中央と周辺では、同じようにX線が通っている為、
撮影した画像データを用いて、再現性の高い三次元再構成ができます。

点光源の場合、中心(光軸)以外の領域は斜め方向にX線が入射しています。
このようなX線で撮影した画像データを用いて再構成すると、
本来は存在しない膨らみが出たり、
CT値低下により境界が不鮮明のデータとなってしまいます。

円柱の場合、上下の端面に曇りのような膨らみが生じます。
この現象はコーンビームアーチファクトと呼ばれます。

このアーチファクトはX線の斜入射角度(コーン角度)が大きくなるに伴い、
影響が大きくなります。

コーンビームは四角錐状である為、理論上再構成した三次元データに、
上下と左右どちらにもアーチファクトが出るように思われますが、
実際には殆どのアーチファクトは上下にしか存在しません。
それは、撮影中のサンプルが回転しているためです。

左右の形状は、斜め入射したX線も照射されるますが、回転に伴い、
垂直なX線(光軸)も照射される為、再構成によって元の形状が再現されます。

しかし、上下の形状は、回転に関わらず、ずっと斜めのX線で照射されている為、
再構成したデータにはアーチファクトが生じます。
この結果により、上下形状の寸法測定に誤差を生じる場合があります。


では、どうすればこのアーチファクトを低減できるでしょうか?

今回は下記3つの低減方法を紹介いたします。


・コーン角度縮小

  コーン角度が小さければ小さい程、平行光線に近い為、
  アーチファクトが少なくなります。

  コーン角度を小さくする方法として、検出器を小さくするか、
  或いは光源と検出器間の距離を長くする方法があります。

  検出器を小さくすると、大型サンプルに対応できないデメリットがあります。

  一方で、光源と検出器間の距離が長くすると、
  X線が弱くなり、画像が暗くなります。
  従来と同様な画質を得る為には、露光時間を増やす必要があります。
  つまり撮影時間が長くなります。
  これはトレードオフの関係であり、サンプルに合わせて設定することになります。


・検出器の測定領域縮小

  TomoScopeのソフトウェアではコーンビームアーチファクトを低減する為に、
  測定範囲を小さくする機能が標準で付いています。

  この機能を利用すれば、撮影開始する時点でフル画面ではなく、
  上下の部分を予め除外します。
  つまり、ソフトウェア上で検出器を小さくして、コーン角度を低減しています。


・ソフトウェア補正

  Werth社は独自の Cone Beam Artifact Correction 補正機能を持っています。
  コーン角度を考慮し、アーチファクトを内部でシミュレートすることで、
  コーンアーチファクトを除去することが可能です。


測定機を扱う場合、誤差の原因が分かれば、それなりの対策も可能な為、
より良い測定を得る為に、このような知識を知っていた方が良いと思います。

  今回は、コーンビームアーチファクトの発生原理については、
  多少の厳密さは犠牲にしましたが、イメージしやすい説明を試みました。


それでは、今日はこの辺で。
最後までお付き合い頂き、有難う御座いました。


--
E.C

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