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2024.04.24

D-0209.ウェーハ搬送時における吸着圧力について— H.S

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ウェーハ搬送時における吸着圧力について

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp

連載「知って得する干渉計測定技術!」
2024年4月24日号 VOL.D-209

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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こんにちは、技術グループの佐々木です。

今回は、弊社のウェーハ用平面度測定機(自動機)である、
UltraSort-II の搬送時におけるウェーハの吸着圧力に
ついて話していこうと思います。


弊社HPにも記載がございますが、
UltraSort-II(以下、US2)はスループットが
非常に早く150枚/hourとなっております。

これはウェーハを吸着保持するアームが2つあることと、
ロボットの速度が速いため実現できています。

スループットからもわかる通り、
ロボットのスピードは見た目もかなり速く
始めて見た際は驚きました。

当然、搬送時には安全にウェーハを搬送する必要があるので、
しっかり吸着する必要があるのですが、
実際にはウェーハにどれくらいの力がかかっているか、
今回疑問に思ったので計算してみることにしました。


US2で使用している真空ポンプの真空圧は、
84.6kPa です。
このときの真空吸着力は、
84.6kPa = 0.86kgf/cm^2 となります。

そして、搬送用のアームについている
吸着溝の面積を確認すると、約 10.7cm^2 程度でした。

(吸着溝の形状はすこし複雑で大まかに
計算しましたが、意外と小さいなと感じました。)


この条件でウェーハにかかる吸着力を計算すると
ウェーハ1枚当たりに掛かる力は、

  0.86 kgf/cm^2 × 10.7 cm^2
  = 9.202 kgf

約 9kgf の力で吸着していることがわかりました。


搬送部分の吸着圧としてはどうなのでしょうか。

ロボットの搬送時の速度を確認すると、
1.016m/sec でした。

搬送時でウェーハに最も力がかかる瞬間として、
最大の速度から緊急停止した時を想定します。

ロボットが最大の速度の状態から急停止なので、
1.016m/sec から 0.05sec で急停止すると
仮定した場合

  1.016m/sec / 0.05sec
  = 20.32m/sec^2

となり、ウェーハには
20.32m/sec^2 の加速度がかかります。
8”Siウェーハ 725μm 厚み の重さは約 0.05kg なので、

急停止によるウェーハにかかる前方向の慣性力は F = am で

  20.32 × 0.05 = 1.016N

搬送時でウェーハに最も力がかかる瞬間は、
1.016 N = 0.103 kgf となりました。

それに対する力である静止摩擦力は

  F = μN

で計算できます。

N(垂直抗力)はウェーハにかかる重量なので、
ウェーハ重量と先ほど算出した吸着力を合わせて、
9.252 kgf、
これをN(ニュートン)単位に直すと 90.67 N となります。

シリコンウェーハ裏面と搬送用アームの最大静止摩擦力から
静止摩擦係数μを計算したところ μ=0.16 となりました。
(計算内容は今回は省略いたします)

これらを F=μN に代入すると

  F = 0.16 × 90.67
   = 14.685N

静止摩擦力は 14.69 N ということがわかりました。
慣性力 1.016 N と比較しても大きいため、
搬送用アーム十分な吸着力があると言えます。


今回は以上となります。
自動機の需要が増えたからこそ、色々な方向性から
装置の仕様について理解を深めていきたいと思います。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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H.S

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