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2023.04.19
D-0193. MSP の group index について — E.N
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MSP の group index について
発行:エスオーエル株式会社
https://a13.hm-f.jp/cc.php?t=M380953&c=6090&d=eb6f
連載「知って得する干渉計測定技術!」
2023年4月19日号 VOL.193
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、
無料にてメールマガジンとして配信いたします。
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こんにちは。
最近、市をまたぐ引越しをした関係で、
4月頭に娘の保育園を転園しました。
新しく、4人同じクラスに入園してきたのですが、
迎えに行っても私の娘以外は物怖じせず、
一切泣かずに玩具で遊んでいました。
私の娘は予想していた通り、初日は大泣き、
あらゆるドアを先生に開けさせ、ママを探していたそうです。
そんな娘で心配ですが、とても愛おしくも感じました。
早く慣れてくれるといいなと思います。
今日は、最近また問い合わせの増えてきた印象のある
MSPに関するお話しです。
MSPは透明品の Optical Thickness や
Optical Thickness Variation の測定が可能な装置です。
Optical Thickness と Optical Thickness Variation は、
屈折率分布を含む 厚み と TTV のことです。
厚み測定には、周波数解析という解析手法を使っています。
光源波長を約0.1nmずつ128ステップ変化させ、
干渉縞は『明るい~暗い』を繰り返します。
そして、その干渉縞の『明るい~暗い』を繰り返す回数(K)は、
光路長(厚みt×屈折率n)に比例します。
式で表すと、
t×n = ある係数 × K ----------(1)
となります。このある係数は、周波数感度Sfなので、
t = K × Sf/n ---------(1’)
Sfは以前メルマガで導出しており、
( https://a13.hm-f.jp/cc.php?t=M380954&c=6090&d=eb6f )
測定開始時の光源波長を λs、
測定終了時の光源波長を λe とすると、
以下の式で表せます。
Sf = λs × λe /{2(λs - λe)} -----------(2)
(1’)に(2)を代入すれば、厚みが求められます。
しかし、ここで問題が出てきました。
(1’)には屈折率が含まれていますが、屈折率は光源の波長に依存します。
そしてMSPは測定中に波長を変更させています。
困りました。
(1)のようにシンプルな式で表すために、この n を導出してみます。
まず、(1’)を変形しておきます。
n = K × Sf/t ----------(1”)
Kは、測定開始時と測定終了時の光路長が波長の何倍の長さなのか、
比較すると求められます。
測定開始時の光路長は、
Ps = 2 × t × ns
です。これを ks × λs と置くと、
ks = 2 × t × ns /λs ----------(3)
となります。
測定終了時も同様にして、
ke = 2 × t × ne /λe ----------(4)
です。
ke - ks = K です。
この後使いやすいように、Kを変形しておきます。
K = ke - ks
= (2 × t × ne /λe) - (2 × t × ns /λs)
= 2t{(ne × λs) - (ns × λe)} /(λe × λs) -------(5)
(1”)に、(5)と(2)を代入します。
n = K × Sf/t
= 2t × Sf{(ne × λs) - (ns × λe)}/ (λe × λs)} /t
= 2{(ne × λs) - (ns × λe)} /(λe × λs)} × [(λs × λe)/{2(λs - λe)}]
= 2{(ne × λs) - (ns × λe)} /{2(λs - λe)}
= {(ne × λs) - (ns × λe)} /(λs - λe) -----------(6)
となります。
n が導出できました。この n を『group index』と呼んでいます。
実際に、group index n を求めてみます。
また、group index ではなく、
測定開始時の屈折率と終了時の屈折率の中間の屈折率を使用して
Optical Thickness を求めた場合、
どのくらいの影響があるのか計算してみます。
条件:
・厚み 1mm (=1000000nm)
・測定開始時の光源波長 λs=835nm
・測定終了時の光源波長 λe=825nm
・測定開始時の屈折率 ns=1.453
・測定終了時の屈折率 ne=1.457
(6)式より、
n = {(ne × λs) - (ns × λe)} /(λs - λe)
= 1.787
となります。
仮に、group index の代わりに中間屈折率で
Optical Thickness を計算してみます。
(5)式より、
K = ke - ks
= (2t × ne /λe) - (2t × ns /λs)
= 2t{(ne × λs) - (ns × λe)} /(λe × λs)
≒ 51.88 [cycles]
(2)式より
Sf = λs × λe /{2(λs - λe)}
≒ 34.44 [μm/cycle]
よって、(1’)より、
Optical Thickness は、n に中間屈折率 n_m = 1.455 を適応すると、
t = K × Sf /n
= 51.88 × 34.44 / 1.455 [μm]
= 1.228 [mm]
この条件では、20% 以上も異なる厚みが解析されてしまいました。
機種ごとに微妙に波長が異なりますが、
セルマイヤー係数があれば、装置が自動で group index を算出でき、
正しい厚みが出力されます。
予め入力しておけばよいのは、
以下の式の B1~B3, C1~C3 までの係数です。
n^2 - 1 = B1 λ^2 /(λ^2 - C1) + B2 λ^2 /(λ^2 - C2) + B3 λ^2 /(λ^2 - C3)
以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
--
E.N

