logo

logo

メールマガジン・新着情報一覧

  1. TOP
  2. メールマガジン・新着情報一覧
  3. D-0167. フリンジスキャンがなかったら — Y.O

2021.02.17

D-0167. フリンジスキャンがなかったら — Y.O

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
フリンジスキャンがなかったら
 
発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/
 
連載「知って得する干渉計測定技術!」
2021年2月17日号 VOL.167
 
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、
無料にてメールマガジンとして配信いたします。
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 
 
こんにちは。営業技術グループの落合です。

今日は仮定のお話です。

もしもまだこの世にフリンジスキャン(*1)がなかったら
何が起こってしまうのでしょうか。

平面度を知りたいサンプルを前にして、
もしフリンジスキャンがなく静止画の干渉縞があるだけの場合、
私たちはどこまで平面度を知る事ができるのでしょうか。

*1 フリンジスキャンとは
  干渉縞(フリンジ)からサンプル表面形状を解析する方法です。
  一括照射される面の干渉縞の明暗を正弦波状に変調させ
  CCDカメラでデータを取り込みます。
  この時、干渉縞は流れる動きを見せます。

早速見ていきます。


1.分解能が上がらない

静止画の干渉縞でも、
目視で等高線である干渉縞を確認する事はできます。

しかし、人の目で見ると、正確に読めるのは
縞一本の1/5(5分割)程度ではないでしょうか。
CCDカメラで解析してみても、静止画では1/10~数十程度までです。

一方、CCDカメラ+フリンジスキャンなら
FlatMasterの位相差解析では、
位相差1度毎の分解能で解析できるため約1/360です(*2)。

縞感度3.6μm/frの場合、
人の目+静止画では1/5で0.72μm、
CCDカメラ+静止画では1/10として0.36μm
それに対してCCDカメラ+フリンジスキャンでは0.01μm です。

フリンジスキャンは、分解能が圧倒的に違います。

*2 分解能1/360について
  実際にはデジタル化されたデータはコンピュータ上で
  より細かい分解能(数万階調)を持ちますが、
  S/N比等を鑑み、装置の実態に基づいた分解能として
  位相差1度毎に分割できる1/360となっています。


2.凹凸方向がわからない

静止画の干渉縞では、凹か凸かは確認手段がありません。

しかし、手で参照平面を押して縞を揺らす事はできます。
テスト面との光路長差が変化しますので
干渉縞が等高線の中心方向に向かって
遠ざかっていくときが凹、近づいてくるとき凸
といった具合に、人の目でも形状が判明します。

フリンジスキャンでも、実はこの確認方法は同じです。
FlatMasterであれば
「モーターでレーザー入射角度を微小変化させて」
できる干渉縞の動きを解析します。

データ収集をするCCDカメラ、PC側から見ると、
「誰かが参照平面を押してくれて」
できる干渉縞の動きと差がないわけです。

しかし、人の目にはやはりハンディキャップがあります。
人の目で判別できるのは
凹凸を認識しやすい等高線(干渉縞)分布だけです。
きれいな山型やお椀型などです。

一方、フリンジスキャンでは、
どのような複雑な等高線(干渉縞)分布であっても、
参照平面とテスト面の位相差変化が認識できれば
自動的に凹凸が求まります。

やはり、フリンジスキャンが上手(うわて)です。


3.干渉縞の中心がわからないとお手上げ

干渉縞は、高さが縞の本数とリニアな関係です。

平面度の定義は、基準面かのMAX-MINですから、
等高線(干渉縞)の一番上と下を見つければ、
静止画でも凡その平面度は求まります。

ただし、やはり
きれいな山型やお椀型、せめて鞍型
である事が求められます。

つまり、干渉縞が、
「等高線の中心がわかる」ような分布をしていないと、
静止画でMAXとMINを得る事は困難です。

特に平面度が良い場合、残念な事が起こります。

例えば縞の本数が視野全面で1本程度の
幅広いフリンジにになってしまった場合をご想像下さい。
静止画では、等高線の幅と方向の判別が困難です。

縞の本数は少ないほど精度が良いのに、
少なすぎるとむしろ高さが読み取れない、一方、
干渉縞の中心を見つけるためにチルトをつけて縞を増やせば、
精度が下がるというトレードオフの関係になります。

これも、フリンジスキャンなら解決します。
解析時に明暗変化は位相に変換して算出されます。
各データ点の干渉縞の明暗変化だけを使う事で、
光路差、サンプル表面の高低差情報を得られるため、
等高線の中心を追いかけて求める事は不要なのです。

フリンジスキャンがあるから、
高分解能で、どのような複雑な形状であっても、
全面の凹凸形状を解析する事ができるのです。

フリンジスキャンがあって本当によかったです。

今日はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございました。


--
Y.O

一覧に戻る

お問い合わせ Contact

048-441-1133

お問合せフォーム