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2009.04.10

D-0003. 縞感度の概要と式の導出 — TT

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縞感度の概要と式の導出

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「知って得する干渉計測定技術!」
2009年4月10日号 VOL.003

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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縞感度(Sensitivity)は、干渉計で形状を測定する上で、キーになる要素です。
今回は、縞感度の概要と式の導出を解説致します。


【縞感度とは】

干渉計で測定面を観察した場合、明暗の縞模様が見えます。
これを干渉縞を言いますが、ちょうど地図における等高線と同じ役割を果たします。

このとき、縞と次の縞(例えば暗と次の暗)の位置における高さの差
を縞感度と呼びます。

例えば、3umの窪みがあり、1.5umの縞感度で見ると、
縞は2本見えることになります。(um = ミクロン)

縞感度は、光の干渉条件で決まりますので、
基本的に波長と入射角度によって決まってしまいます。


【垂直入射における縞感度の式】

光を測定面に垂直に入射させた場合の干渉条件を考えます。

干渉させるためには、参照光と測定光に波面分割する必要があります。
測定光を測定面に照射し、そこからの反射光と参照光をもう一度合わせることで、
干渉縞ができます。

今、説明のためにxyz座標を設定します。
平面波が、xy平面と平行に入射し、z = 0 上で波面分割したとします。

z = g の位置に測定面があったとします。
より明確に、z = g から z = g + S の範囲に
測定面の最高点と最低点があったとします。

z = 0 から測定面に向かい、z = g で反射して帰ってきた光は、
参照光より 2g だけ余計に進んだことになります。
これを光(A)と呼びましょう。

一方、z = 0 から測定面に向かい、z = g + S で反射して帰ってきた光は、
参照光より 2g + 2S だけ余計に進んだことになります。
これを光(B)と呼びましょう。

ついでに参照光を光(R)と呼ぶことにします。
(A)+(R)による干渉で、光強度が暗になったとします。
(参照光と2gの光路長差で暗になるということです。)

Sとして、ちょうど次の縞が出る条件、つまり、縞感度分だけ離れた条件を選びます。
(B)+(R)による干渉が次の暗になるということは、
光の波長をLとして、
2S = L
になっているということです。
これは、光(A)と光(B)の光路長差が1波長分という条件です。
( 2g+2S - 2g = L ということです。 )


これにより、垂直入射では縞感度が、

S = L/2

という、良く知られた式になります。


【斜入射における縞感度の式】

入射角t で測定面に入射している場合を考えます。

まず、z = g, x = 0 の位置で反射する光(A)を考えます。

垂直入射と同じように考えたいのですが、
z = g + S で反射する場合は、斜入射なので x = c だけ横にずれます。

この z = g + S, x = c で反射する光を光(B)と呼ぶことにします。

光(A)の反射位置 P (z = g, x = 0)
と光(B)の反射位置 Q (z = g + S, x = c)、
及び点 N (z = g, x = c) は、
直角三角形PQN をつくります。

辺PN の長さは c、辺QN の長さは S、辺PQ と 辺QN の成す角度は t です。
さらに、辺PQ の長さを b と置きます。

光(B)が反射して z = g に戻ってくる位置をU とすると、
ここにも直角三角形UQN ができます。
(U は z = g, x = 2c の位置です。)

辺UN の長さは c、辺UQ と 辺QN の成す角度は t、辺UQ の長さは b になります。

さて、光(A)と光(B)の光路長差が1波長分という条件を式にしたいのですが、
そのために、反射した後の光(A)に向かって、点U より垂線を下ろします。
この交わる点を M とし、PMの長さを a としましょう。

すると、光(A)が P→M と進むとき、光路長は a であり、
光(B)は P→Q→Uと進むので、光路長 2b となります。

ようやく、光(A)と光(B)の光路長差が1波長分という式、

2b - a = L (式1)

が得られます。

式から a,b,c を消去し、S と L の式を作りたいので、
まず、直角三角形という条件から、次の式が立ちます。

a = 2c sin t (式2),
c = b sin t (式3),
S = b cos t (式4).

(式1)に(式2)を代入して、

2b - 2c sin t = L

となり、これに(式3)を代入すると、

2b - 2b sin^2 t = L

となります。 1 - sin^2 t = cos^2 t という関係式を使えば、

2b cos^2 t = L

となり、これに(式4)を代入すれば、

2S cos t = L

を得ます。従って、

S = L / (2 cos t)

という斜入射における縞感度の式が得られます。

実際、この式に t = 0 を代入すれば、cos 0 = 1 ですから、
S = L/2
という垂直入射の式に一致します。


ここまで、テキストの制限上、すべて文章で説明してきましたが、
作図すれば、もう少し分かり易いかと思います。

また、一度この流れで理解しておけば、何がどうなっているのか分かりますので、
もう少しエレガントな導出も可能かもしれません。


以上、長々と S = L / (2 cos t) を導出しましたが、
この式を基に、様々な現象が説明できるようになります。

--
高野智暢

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