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2021.09.08

A-0126. 波動方程式の導出 –TT

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波動方程式の導出

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2021年9月8号 VOL.126

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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今回は、一度はやっておいた方がよい(と思う)
波動方程式の導出を紹介します。

波動方程式は、いろいろな場面で登場します。

マクスウェル方程式から、電場や磁場は波動方程式を満たし、
電磁波として波の性質を持つことが分かります。

重力も重力波として、波の性質を持ちます。

量子力学で現れるシュレーディンガー方程式も
波動方程式と呼ばれています。

  シュレーディンガー方程式は、係数に虚数が入っていて、
  波動方程式の性質だけでなく、熱の拡散方程式の性質も持ちます。

他にも、何かを振動させたときには波が生じます。

このように、波の性質が現れるたびに、
波動方程式が背後に潜んでいます。

波動方程式は、波という現象を抽象的に捉えて、
その一般的な性質を理解するのに役立ちます。


それでは、両端を固定した弦の運動を考えることで、
波動方程式を導出してみます。

まず、独立変数として、時間 t と 1次元位置座標 x を取ります。
そして、従属変数として、u(t,x) を取ります。
u(t,x) は、時刻 t における、位置 x における弦の垂直方向変位です。


次に、弦の微小部分 [x, x+Δx] を考えます。
弦が一様な線密度 ρ を持つとき、微小部分の質量は、ρΔx です。

そして、加速度 a は、変位の時間についての 2階微分になるので、

  (∂^2 /∂t^2) u(t,x)

です。

ここで、微小部分に働く外力を F として、
ニュートンの運動方程式 ma = F に当てはめると、

  ρΔx (∂^2 /∂t^2) u(t,x) = F

になります。


続いて、微小部分に働く外力 F を求めます。
張力 T は、どこでも一定で、弦の接線方向に掛かるとします。

すると、弦の接線が x軸となす角度を θ としたときに、
張力の垂直成分は、T×sinθ となります。

これが微小部分の両端に、反対方向に掛かるので、

  右端:  T sinθ(t,x+Δx)
  左端: -T sinθ(t,x)

となります。

従って、微小部分に働く外力 F は、

  F = T sinθ(t,x+Δx) - T sinθ(t,x)

です。

ここで、角度θが常に微小に保たれている運動を考えます。
すると、

  sinθ ≒ θ ≒ tanθ ≒ ∂u/∂x

としても問題ありません。
これにより、

  F = T(∂/∂x) u(t,x+Δx) - T(∂/∂x) u(t,x)

とできます。
つまり、ニュートンの運動方程式は、

  ρΔx (∂^2 /∂t^2) u(t,x) = T(∂/∂x) u(t,x+Δx) - T(∂/∂x) u(t,x)

と書けることになります。
そして、両辺を Δx で割って、Δx → 0 の極限を取ることで、

  ρ(∂^2 /∂t^2) u(t,x) = T(∂^2 /∂x^2) u(t,x)

という、時間と空間について 2階の偏微分方程式が得られます。

ここで、

  c = √(T/ρ)

という、位相速度に対応する定数を置くと、

  (1/c^2)(∂^2 /∂t^2) u(t,x) = (∂^2 /∂x^2) u(t,x)

となり、波動方程式を導くことができました。


ここまで計算することで、波動方程式が求まったので、
これが数学を使って計算された真理だと思ってしまうのは、
早とちりです。

本当は、ここからが本番です。
どんな仮定を置いて、どんなモデル化をしたのかを考察する必要があります。
また、モデルの妥当性を検証し、適用範囲についても考える必要があります。

そもそも今回は、方程式を導いただけで、解いてもいません。

ここから先、とても楽しい世界が広がっています。
今回は、その世界への第一歩というところです。

--
高野智暢

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