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2020.08.12

A-0111. ロルの定理を公理にしてデデキントの切断公理を証明する — TT

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ロルの定理を公理にしてデデキントの切断公理を証明する

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2020年8月12日号 VOL.111

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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以前のメルマガで
  ロルの定理は、公理とすることができ、そのときは証明しなくてもよい。
  何でも自分で確認したい性格だが、寿命は有限なので、
  ロルの定理を公理と置く論理展開までは、
  (その事実さえ知っていれば)やってみようとは思わない。
と書きました。

でも、やはり性格上、我慢できなくなり、証明します。

さすがに、ノーヒントで自力で証明しようとまでは思わなかったので、
専門書を参考に、証明してみます。


証明することは、

  ロルの定理(公理) ⇒ デデキントの切断公理(定理)

です。


ロルの定理:
  開区間(a,b)で微分可能、閉区間[a,b]で連続な関数 f(x) があって、
  f(a) = f(b)を満たすときに、開区間(a,b)上のどこかの点 c で、
  f’(c) = 0 となる。


まず、ロルの定理 ⇒ ラグランジュの平均値の定理 を証明しておきます。
そのために、
開区間(a,b)で微分可能、閉区間[a,b]で連続な関数 g(x) に対して、
関数 F(x) を

  F(x) = (b-a) g(x) - {g(b) - g(a)} x

のように作っておきます。
この F(x) に a と b を代入すると、

  F(a) = (b-a) g(a) - {g(b) - g(a)} a = bg(a) - ag(b) ,
  F(b) = (b-a) g(b) - {g(b) - g(a)} b = bg(a) - ag(b)

となり、F(a) = F(b) だと分かります。
すると、F(x)について、ロルの定理を使うことができて、
開区間(a,b)上のどこかの点 c で、F’(c) = 0 となります。

従って、

  F’(c) = (b-a) g’(c) - {g(b) - g(a)} = 0

と計算できるので、b-a≠0 から、

  g’(c) = {g(b) - g(a)} / (b-a)

となる c が開区間(a,b)上にあることが分かりました。
(これが、ラグランジュの平均値の定理 です。)


次に、開区間(a,b)で微分可能、閉区間[a,b]で連続な関数 h(x) があって、
開区間(a,b)で常に h’(x) >0 とします。

ここで、a≦α<β≦b であるような α, β を任意に持ってくれば、
関数 h(x) は、開区間(α,β)で微分可能、閉区間[α,β]で連続なので、
ラグランジュの平均値の定理 が使えます。

つまり、

  h’(c) = {h(β) - h(α)} / (β-α)

となる c が開区間(α,β)上にあります。
さらに、仮定より、h’(c) >0 なので、

  h(β) - h(α) = (β-α) h’(c) >0

が言えるため、

  h(β) > h(α)

であることが分かります。


ここまでで、
ロルの定理 ⇒ 特定の条件を満たす h(x) に対して、常に h(α) < h(β)
であることが確実となりました。(ただし、a≦α<β≦b です。)


それでは、ここから背理法を使って、
デデキントの切断公理(定理)を証明してみます。

実数を2つの組(下組 A と 上組 B)に分けたとき、
「A に最大元がなくて B に最小元がない」と仮定します。

a∈A, b∈B とすれば、切断の定義から a < b です。

ここで、閉区間[a,b]で定義された関数 G(x) として、

  G(x) = { x-a (x∈A), x-b (x∈B)

を考えます。

このとき、ξ∈開区間(a,b) ならば、G’(ξ) >0 を示すことができます。
そのために、case1 と case2 に場合分けします。


case1: ξ∈A (下組)

 ξは A の最大元ではないので、ξ<η かつ η∈A となる η が存在します。
 従って、ξ∈開区間(a,η) かつ、 開区間(a,η)で G(x)= x-a です。
 よって、x∈開区間(a,η) ならば、G’(x) =1 なので、
 その間の ξ においても G’(ξ) =1 が言えて、G’(ξ) >0 です。


case2: ξ∈B (上組)

 ξは B の最小元ではないので、ζ<ξ かつ ζ∈B となる ζ が存在します。
 従って、ξ∈開区間(ζ,b) かつ、 開区間(ζ,b)で G(x)= x-b です。
 よって、x∈開区間(ζ,b) ならば、G’(x) =1 なので、
 その間の ξ においても G’(ξ) =1 が言えて、G’(ξ) >0 です。


これで、ξ∈開区間(a,b) ならば、必ず G’(ξ) >0 を示すことができました。

ここで、関数 G(x) を上述の h(x) に照らし合わせることで、a<b によって、

  G(a) < G(b)

であることが言えます。

ところが、関数 G(x) の定義より、

  G(a) = G(b) = 0

です。
よって、矛盾が生じました。

これは、「A に最大元がなくて B に最小元がない」と仮定したことが原因です。
この仮定以外は、ロルの定理を公理として、証明済みの事実を使いました。

従って、「A に最大元があるか B に最小元がある のいずれかである」こと
が示されました。


これで、

  ロルの定理(公理) ⇒ デデキントの切断公理(定理)

が証明できました。


自分の心に、これで満足か? と問い掛けてみます...
感想は... 特にありません。


--
高野智暢

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