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2019.05.01

A-0094. コーンビームの考え方 — T.T

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コーンビームの考え方

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2019年5月1日号 VOL.094

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



X線CTを扱う上で、経験は助けになりますが、
原理から押さえていかないと手も足も出ない
ということが多々あります。

知識も役に立ちますが、
知っているだけでは意味がないこともたくさんあります。

現象を見て、何が起こっているのか考えることが重要です。


コーンビームのX線CTを理解する上で、
X線CTの歴史やどんなタイプのビームや検出器があるのかを
知っていることは参考になりますが、

コーンビームについて、
普段からよく考えていると、見えてくるものが変わってきます。

コーンビームがどんなものかは、簡単に説明できます。

それは、検出器が長方形(あるいは正方形)だとすると、
その長方形を底面とし、光源を頂点とする
四角錐状にX線が拡がっているビームのことです。

このイメージだけで理解しているのと、
幾何光学や波動光学の基礎を知った上で理解しているのでは、
見えている風景が違います。

座標変換、フーリエ変換、ラドン変換などの
数学的道具を使いこなせれば、これもまた見える風景が
全然違います。


話をどこから始めても、万人に役に立つ説明は困難なので、
今回はコーンビームに関する適当な話を書きます。

いきなりコーンビームを考えるよりも、
平行ビームを考えることから始めると、見えてくるものがあります。

正方形のスクリーンがあって、
その前に円柱が置いてあり、可視光の平行ビームが当たっている
状況を考えます。

長方形の影がスクリーンに映るはずです。

さて、光源はイメージできるでしょうか。

無限に遠い点光源を考えるか、面状に広がった光源を考える必要があります。
どちらも簡単なようで、そう簡単ではありません。

光学をある程度勉強すると、
光源とはどう扱うべきものかという感覚が掴めると思いますが、
我流のイメージでは、落とし穴にハマることがあります。


では、可視光ではなく、X線の場合はどうなるか考えます。

透過距離が重要なので、数式で解く必要が出てきます。
今回は、数式を使わずに、いろいろイメージしてみます。

スクリーンの前の円柱をスクリーンに垂直な平面でスライスしていきます。
X線CTを考えるときは、切り口が円になる方向に切りたくなりますが、
今知りたいのは、透過距離なので、短冊になる方向で切ります。

スライスした短冊は、最初は一本の線ですが、少しずつ幅が広がり、
中央で最大幅となり、今度は逆に、少しずつ細くなって、最後は一本の線
になります。

そして、透過距離を考えるためには、
短冊の端をスクリーンに揃えて並べます。
そのときにできる立体は、もはや円柱ではありません。
これをイメージできると、理解が進みます。

結局、どんな形?と問われると、数式に落とし込んで、
この短冊切りを数学のルールに則って表現することになります。

円柱ではなく、一般の形の場合もプロセスは同じで、
無数の針でスクリーンに垂直に物体を貫通させるイメージです。
そして、数学的な道具として、線積分を使うことになります。

平行ビームでも、なかなか大変です。


次は、(コーンビームの前に)ファンビームを考えるのが
よいと思います。

ファンビームのときは、
点光源と円弧のライン状検出器か
線光源と円筒面のスクリーンを考えます。

まず、平行ビームをイメージして、
平面のスクリーンが円筒面になるように
空間を曲げます。

平行ビームのときに、面光源をイメージしたのであれば、
面が細くなって、線になるイメージです。

平行ビームで、無限遠の点光源をイメージした場合は、
点光源を近づけると、ファンビームではなく、
コーンビームになります。

コーンビームの前に、ファンビームをよく理解しておいた方がよいので、
コーンビームの光軸に沿った一断面を切り取って、
ファンビームを考えてもよいです。

ファンビームが円筒面状のスクリーン、
あるいは円弧状のラインセンサに当たる情景が目に浮かんだら、
そこに映る影や透過画像をイメージしてみます。

イメージができたら、絵に描いてみたり、数式に落としてみると、
理解が進みます。


さて、今考えたファンビームは、スクリーンが曲がっています。

その曲がったスクリーンをまっすぐに伸ばすことを考えます。
目を瞑って、光線はそのままで、スクリーンだけを
まっすぐに戻す状況を思い浮かべるのです。

(今では右脳左脳という機能区分は否定されているようですが、)
脳の「イメージ」を司る部位の強化は、脳の活性化に役立ちます。


最後は、コーンビームをイメージする練習です。

線光源をイメージした場合は、線が点になるように、
空間を曲げていきます。

平行ビームで無限遠をイメージできた人は、
無限を有限に持ってくるだけでコーンビームです。

空間を曲げる段階で、スクリーンを曲げた場合は、
スクリーンをまっすぐに伸ばすステップも必要です。

むしろ、スクリーンの曲げ伸ばしも
自由にイメージできるようにしてみるとよいです。


さて、ここまでのイメージトレーニングを
目を瞑って、瞼の裏に画像が見えるまでやってみます。

慣れてくると、脳が視覚をどのように生成しているかの
プロセスまで見えてきます。

コーンビームという言葉を思い浮かべている状態、
コーンビームのイメージがぼんやり存在し、絵に描ける状態、
目を瞑ると、瞼の裏に画像が見える状態
という具合です。

こんな練習をしていると、時間が経つのもあっという間ですし、
退屈している暇はありません。

イメージを自由に操れるようになると、いろいろ便利です。
あとは、それを、絵にしたり、数式にしたり、言葉にしたり、
表現方法は様々です。


では、コーンビームのイメージを自由に扱えるようになったか、
いくつか試してみます。

まず、光源を左右上下前後に移動させてみます。
スクリーンに映る影や透過画像の変化をイメージできるでしょうか。

イメージは、必ずしも現実を再現できるとは限りません。
誤ったイメージが定着しないように、確かめる必要があります。
実験設備があれば、自分で確かめられますし、
確かな専門書があれば、イメージと実際のズレを修正することができます。

数式を使うと、感覚的なイメージの落とし穴を回避して、
正しいイメージの形成の手助けになります。


点光源に広がりを持たせたときもイメージしてみます。
正しくイメージできれば、なぜ積分が必要なのかも分かります。


最後に、コーンビームの何が問題となるのかをイメージから読み取ってみます。

光軸を通り、回転軸に垂直なファンビームになっている状況では、
ビームが物体を貫通している断面は、物体を回転させても同一平面になります。
同一平面の透過データが検出器の一ラインで取り込まれます。

この断面の再構成は、一周分の透過データを使うことで実行することができます。

しかし、光軸に対して角度を持っている場合、
検出器の一ラインで取り込まれる透過データは、
物体が回転すると、別の平面を透過していることが分かります。

一断面を再構成するのに、一周分の透過データが必要なのに、
コーンビームでは、外周部は回転させると同一平面を切り取れない
ことが分かります。

この状況がイメージ出来たら、
CT像にどんな影響が出るのか想像できるようになり、
現象を見た時の対応も変わってきます。


さて、文章で分かりにくく、状況を書きました。
人が描いた絵を見ると、何かそれだけで理解したつもりになってしまう
ことがよくあります。

自分で絵を描いたり、頭の中でイメージできるように練習すると、
物事の理解の仕方が変わってくると思います。


--
高野智暢

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