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2015.11.11

A-0056. 三次元測定機に搭載したX線CT — TT

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三次元測定機に搭載したX線CT

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2015年11月11日号 VOL.056

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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先月は、東京大学 本郷 において、X線CTに関する講演を行ってきました。

そのときのタイトルが
「三次元測定機に搭載したX線CTの原理と活用事例」でした。

X線CTで寸法計測をするという分野は、益々研究が盛んに行われています。
X線CTは、幅広い専門分野の複合技術で、それ自体も一つの専門分野となっており、
更に、応用も広がっているため、行われている研究も範囲が広いです。


TomoScope が世界で初めて、寸法計測可能なX線CTとして市場に出てから、
10年が経過し、X線CTで寸法計測というのが、大きな研究テーマとして
国内外が盛り上がっています。
研究対象としてのみならず、目論見通り、実用的な測定機として、
最先端の現場で使用される機会が増えています。

この10年間で、X線CTによる寸法計測、つまり「X線CTで三次元測定」を目指した
装置を他でも目にするようになってきました。

しかし、未だに「三次元測定機に搭載したX線CT」は、世界で TomoScope しかなく、
そのために、「三次元測定機に搭載したX線CT」の設計思想はあまり知られていません。

「X線CTで三次元測定」と「三次元測定機に搭載したX線CT」の違いは何でしょうか?
目指すところは、どちらも「X線CTで三次元測定」なので、
「三次元測定機に搭載したX線CT」には意味がないと考える人もいるかもしれません。

実際、装置導入を検討されている方々の興味は、
「三次元測定機に搭載したX線CT」とは何かよりも、
この装置で如何に「X線CTで三次元測定」ができて、精度や機能は要求を満たすか
の方に重点を置かれるため、このような機会(学会講演やメルマガ、記事など)
でなければ、詳しくお話しすることが難しいのが現状です。


一番の違いは、おそらく、
「X線CTで三次元測定」の主眼が、CTで得られた歪んだ三次元像を如何に補正するか
であるのに対し、
「三次元測定機に搭載したX線CT」の着眼点は、
CTで歪んだ三次元像が出た時点で既に手遅れ ということかと思います。


X線CTでは寸法測定が不可能と言われていた時代は、個々の構成機械要素から、
ソフトウェアに至るまで、不可能な理由が膨大に列記されていました。

X線CTで三次元測定が現実的になってきたのには、
それらの課題が地道に克服されてきた背景があります。

でも「三次元測定機に搭載したX線CT」のコンセプトは、
後はデータの補正で解決するほど X線CTによる三次元測定 は容易なものではない
ということです。


例えば、TomoScopeは、X線CTである前に三次元測定機なので、
高精度な三次元測定機が持っている精度確認機能と校正機能を有しています。

一般に、三次元測定機には、21種類の運動誤差が存在します。

まず、X軸について考えると、
Y軸方向及びZ軸方向の真直度誤差とX軸のスケール誤差の並進誤差があり、
ヨーイング、ピッチング、ローリングの回転誤差があります。

そして、各軸にこの3+3種類の誤差があり、
各軸間の直角度誤差が3種類追加されるので、
3×(3+3) + 3 = 21 通りの誤差要因が三次元座標に対して存在します。

X線CTでは、全てが同等の重みで影響するわけではありませんが、
全てを検証し、精度を追い込めることが重要です。
実際、精度に対して非常に敏感な項目もありますし、
鈍感な項目だったとしても、許容できるレベルに限度があります。


また、X線CTでは、回転軸が重要な役割を果たします。
三次元測定機では、ISO 10360-3 という規格 (JIS B 7440-3 が同様の規格)
で回転軸の精度が細かく規定されています。

例えば、TomoScopeでは、回転させた時の誤差を
半径方向(FR)、接線方向(FT)、軸方向(FA)に分解して測定するという
ISO 10360-3 に準拠した試験で精度を検証でき、必要があれば調整ができます。

これは、三次元測定機でないとできません。
そして、やる側にとっては、とっても面倒な作業です。

精度を追い込むには、大きな誤差から潰していくという鉄則があります。
最初から全てソフトウェアで補正というわけにはいきません。
ハードウェアの大きな誤差要因から順に潰していき、最終的に残った誤差を
ソフトウェアで最小限の量を補正します。

順序も重要です。
回転軸の補正が終わったと思ったら、XYZ軸の補正が不完全だった
となれば、全てやり直しです。


やり直しの恐怖(?)は、至る所に潜んでいます。

例えば、TomoScopeには、X線検出器(パネル)のディストーションを補正する
機能があります。

もし、ディストーション補正の前に、X線検出器の 傾き、回転、あおり といった
機械的な調整を怠ってしまったら、またやり直しです。

もっと言うと、X線検出器の機械的な位置調整と補正が終わり、
ディストーション補正が終わったと思っても、
XYZ軸の補正にやり直しが見つかると、全部最初からやり直しです。

そのため、やり直しが無いようにロジカルに一つずつ丁寧に完了させていく
必要があります。


提供する側にとっては、非常に手間のかかる装置ですが、
優れているのは、ユーザーには一切このような手間が不要ということです。

製造時と現場設置時に十分精度を出してしまえば、
日々の校正は、自動プログラムで簡単です。


どうしてここまでやる必要があるのかと言えば、
X線CTで歪んだ三次元像が出た時点で既に手遅れだからです。

例えば、X線CTでは、1つの三次元像を作るために、1000枚位の
X線透過画像を数学的な原理に基づいて重ね合わせます。

それら1000枚の画像が完璧だったとしても、
重ね合わせる位置がずれると歪みのない正確な三次元像は得られません。

逆に重ね合わせる位置が完璧だったとしても、
画像が歪んでいたり、ぼけていたりすると、
やはり歪みのない正確な三次元像は得られません。


何となく「三次元測定機に搭載したX線CT」のこだわりを
感じて頂けたでしょうか。


--
高野智暢


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