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2015.05.13

A-0049. 対称性と群とマクスウェル方程式 — TT

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対称性と群とマクスウェル方程式

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2015年5月13日号 VOL.049

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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我々の扱っている精密測定機は、基本的に光(電磁波)の原理を応用したものです。

TomoScope は X線CT、VideoCheck は 様々な光学センサ、
FlatMaster や UltraFlat は レーザー干渉計、
FlatMaster Ra は 白色光干渉計 といった具合です。

特に、X線CTはX線を光源として使用しているというだけでなく、
X線を発生させる原理も電場や磁場と電子の相互作用を応用したものです。

そのようなものを扱っていてつくづく思うのは、
マクスウェル方程式を知っていてよかったということです。

もし、マクスウェル方程式の存在を知らずにX線を扱っていたら、
それは得たいの知れない箱から発生する目に見えない危険な気を
扱っているような気分でしょう。


さて、マクスウェル方程式に関連したお話をするのに、
実際に計算し始めると、何かと大変です。

この方程式は、電場強度ベクトルと磁場強度ベクトルをそれぞれ E, H と書いて、
電荷密度と電流密度ベクトルをそれぞれ ρ, j と書くと、

  div E = 4πρ
  div H = 0
  rot E = -(1/c) ∂H/∂t
  rot H = (1/c) ∂E/∂t + (4π/c)j

と表される連立偏微分方程式です。

何かの計算をご紹介しようとすると、定義も厄介ですし、量も膨大になります。
そこで、お話程度で済ませるのに、前回の続きで対称性が良いかなと思いました。


マクスウェル方程式は、方程式であるという点と物理法則であるという点で、
対称性と深いつながりがあります。

方程式と対称性は、ガロアが群という抽象的数学概念の着想を得たことからも
関係の深いものです。簡単に言うと、
方程式は両辺に同じ操作(同じ数を足したり引いたり掛けたり割ったり)
をしても等式が保たれるという性質があり、それが群の考え方の元になります。


そしてもう一つ、物理法則が対称性を持つというのは、非常に重要な考え方です。
物理法則がなぜ物理法則なのかというと、再現性があり、予測能力を持つからです。
昨日の法則が今日は成り立たないとか、日本とアメリカで法則が違うという場合、
物理法則とは言いません。

時間や場所が違っても不変な性質が物理法則となります。
これは、方程式の時間や空間座標を平行移動するという操作に対して、
方程式が不変という対称性を持っていることになります。


ニュートンの運動方程式 : m(d/dt)(dx/dt) = f
を思い出してみましょう。
時間を T = t + a にしてみたり、空間を X = x + b にしてみても
方程式は不変です。

ニュートンの運動方程式の場合、対称性はこれだけではありません。
速度を v として、

  X = x + vt, T = t

と変換してみましょう。(dX/dT) = (dx/dt) + v なので、

  m(d/dT)(dX/dT) = m(d/dt)(dx/dt)

となり、方程式の形は変わりません。
この変換をガリレイ変換と呼び、ニュートン力学はこの変換に対して不変です。
(ガリレイの相対性原理といいます。)


一方、マクスウェル方程式は、ガリレイ変換に対して不変ではありません。
どんな変換に対して不変かというと、

  X = ( x - vt )/√( 1 - v^2/c^2 ),
  T = ( t - vx/c^2 )/√( 1 - v^2/c^2 )

というローレンツ変換と呼ばれる操作に対して不変となります。
こうして、アインシュタインの特殊相対性理論の入口に立つことになります。


--
高野智暢


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