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2014.07.09
A-0038. よく使う数学公式(2次方程式の解や三角関数) — TT
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よく使う数学公式(2次方程式の解や三角関数)
発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/
連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2014年7月9日号 VOL.038
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。
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この仕事をしていると、数学の公式を使います。
特によく使うのが、三角関数に関する公式です。
2次方程式を解く必要性もよく出てきます。
先月も何回か遭遇しました。
さて、数学の公式というと、高校生の頃の数学のテストを思い出します。
私は数学の公式をほとんど暗記することができません。
する気がないのかもしれないですし、もはや意地になっているのかもしれません。
数学のテストで最初にやることは、必要な公式をその場で作ることでした。
そして、未だに2次方程式の解公式を正確に記憶することができません。
頻繁に使うのに。
大まかな形は覚えていますが、
どこにマイナスが付いて、2で割るのか、4で割るのか、あれ?掛けるだったかな?
何が二乗だったかな。。。と思い出そうとすると、自信がなくなります。
毎回解いているので、公式集を手に取ってページを繰るより、
紙の余白に自分で平方完成した方がたぶん早いです。
ax^2 + bx + c = 0
x^2 + (b/a)x + (c/a) = 0
{ x^2 + 2(b/2a)x + (b/2a)^2 } - (b/2a)^2 + (c/a) = 0
{ x + (b/2a) }^2 = (b/2a)^2 - (c/a)
x + (b/2a) = ±√{ (b/2a)^2 - (c/a) }
x = -(b/2a) ±√{ (b/2a)^2 - (c/a) }
x = { -b ±√( b^2 - 4ac ) } /(2a)
最近、3次方程式の解公式が気になって、導出しました。
さすがに、人類が何千年も追い求めて、16世紀になってようやく得たものなので、
ノーヒントでは無理だと思います。
昔見たうろ覚えから、チルンハウス変換をして、解の形を仮定して解きました。
本を探してきて、答え合わせをしました。
答えが違ったので、少し悩みましたが、その本の方が間違っていました。
なぜ3次方程式の解公式が気になったかというと、
生きているうちに一度は、5次方程式の解公式を導出したいと思っていて、
そこに到達する前に3次方程式は避けて通れない道だからです。
一生のうちにこの数学的概念に到達したいと思う気持ちは、
一生に一度はあの場所を旅行したいとか、
あの山に登っておきたいと思う人の気持ちと似たようなものでしょうか。
私は旅行には強いこだわりがないので、人の計画についていくタイプです。
行った後には、(例えば、サグラダファミリアとかノイシュバンシュタイン城とか)
行っておいて良かったなぁと感じます。
行った後にようやくガイドブックの記述に興味が湧きます。
5次方程式の解公式は、
代数的(係数の有限回の四則演算や根号の範囲内)には存在しませんが、
楕円関数を用いてもよいという範囲の下では、求めることができるそうです。
「できるそうです」を「できます」と自分で言い切りたいのです。
さて、三角関数の公式も暗記する気がないので、
毎回導出しています。
オイラーの公式
exp(iθ) = cosθ + i sinθ
を使います。この公式は、
複素平面上に単位円と角度θの点を(頭の中で)描いて思い出します。
加法定理の導出:
exp{i(α+β)} = exp(iα) × exp(iβ)
左辺 = cos(α+β) + i sin(α+β)
右辺 = (cosα + i sinα) × (cosβ + i sinβ)
= cosαcosβ - sinαsinβ + i(sinαcosβ + cosαsinβ)
cos(α+β) = cosαcosβ - sinαsinβ
sin(α+β) = sinαcosβ + cosαsinβ
積和公式の導出:
sinαsinβ = { ( exp(iα) - exp(iα) )/2i }×{ ( exp(iβ) - exp(iβ) )/2i }
= { exp(iα)exp(iβ) - exp(iα)exp(-iβ) - exp(-iα)exp(iβ) + exp(-iα)exp(-iβ) }/(-4)
= { exp(iα+iβ) - exp(iα-iβ) - exp(-iα+iβ) + exp(-iα-iβ) }/(-4)
= { cos(α+β) - cos(α-β) }/(-2)
和積公式の導出は、
α=A+B , β=A-B
と置くと
A=(α+β)/2 , B=(α-β)/2
なので、積和公式に代入して作ります。
三角関数は必要な公式がいくつもありますので、
丸暗記しようとすると、プラスとマイナスとsinとcosとαとβの組合せが混乱します。
さて、自分で解いた3次方程式の解を見直しました。
何か忘れていると思ったからです。
そういえば、平方根を取るときは、√記号の前に±を付けます。
x^2 = 1 の解が2つ( x = ±1 )あるからです。
3次方程式を解くときに使う3乗根として、1つの解しか取っていませんでした。
x^3 = 1 の解は3つあるはずです。
これはすぐに求まります。nを整数として、オイラーの公式から、
1 = exp(2πni) = cos(2πn) + i sin(2πn)
なので、3乗して1になるように3乗根(1/3乗)を取ります。
cos(2πn/3) + i sin(2πn/3)
= -1/2 ± i√3/2
つまり、1の3乗根は、1 , (-1/2 + i√3/2) , (-1/2 - i√3/2) の3つということです。
毎回、X線CTの話題とは程遠いお話のようですが、
X線CTの原理を理解する基礎として、深いところでつながっています。
取り留めのない気まぐれのような書き方ですが、
三角関数、代数方程式の解、楕円関数、オイラーの公式、
フーリエ変換、ラプラス変換、フィルタ、自動制御 など一見関係のないものが、
奇跡的に深いところでつながっている様子を感じて頂ければと思います。
次回は、せっかくここまで楕円関数が顔を出してきたので、
関連のある、そもそも「楕円」ってなんだったかなということと、
「楕円曲線」とはなんだろうということをご紹介したいと思います。
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高野智暢
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