連載「知って得する干渉計測定技術!」
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レーザーの偏光方向
発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/
連載「知って得する干渉計測定技術!」
2020年12月16日号 VOL.165
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こんにちは。営業技術グループの落合です。
今日は、干渉計の中身に関してのお話です。
光には偏光という性質があります。
光学の本を開くと、偏光は、
電場の振動方向として定義されています。
実際には光の伝播では電場と磁場の双方が存在しますが、
電場と磁場は、共に光の進行方向とは垂直方向にあり、
互いに直交しており、片方が分かればもう片方も求まることから、
電場のみに着目して議論しても差し支えがありません。
さて、偏光は
光学分野では光の進路を変更したり、
透過と反射量の制御や光の遮断に活用されています。
今回調べて初めて知って興味深かった事なのですが、
例えばレーザー加工においては、
直線偏光では偏光方向の影響により、
切断方向によって切断幅が変わってしまう
(曲線に加工すると幅が変化してしまう)そうです。
そのため、非偏光のレーザーを用いるか、
円偏光に変換後に照射することで
切断方向の影響なく加工しているのだそうです。
ここから本題ですが、
FlatMasterでレーザーを扱うにあたっても、
偏光については考慮していることがあります。
考える必要があるのはやはり反射率です
FlatMasterでは直線偏光されたレーザーを使用しています。
(半導体レーザーもHe-Neレーザーの場合も同じです。)
そのため、反射時に境界面に対して
レーザー光の振動方向が垂直か水平かで
反射率が変わってきます。
まずはじめに、プリズムに最初に入射する時ですが、
この反射光は干渉縞の生成に関わらないため、多くを透過させ、
反射率をできる限り少なくしたいです。
(幸いこの時の入射角は10度以下のため
反射率は4%程と十分に小さいです。
そしてこの時は水平か垂直かで反射率に差はありません。)
一方で、プリズム表面(参照面)での入射の際は、
反射光は、
サンプル表面での反射光との間で干渉縞を生成するために必須です。
そして、この時の入射角は40度程度です。
この40度という角度は、
反射にとってはくせ者で、
もしもレーザーの偏光方向が境界面に垂直方向の振動ですと、
反射が非常に弱くなってしまいます。
(この時屈折率約1.5の石英ガラスから空気中への入射で、
垂直方向の振動の光は反射光が完全にゼロに近くなってしまいます。
このゼロになる角のことをブリュースター窓と言います)
しかし、解決策があり
境界面に水平方向の振動の光であれば、
反射率がゼロになることなく数パーセントの反射光があり、
無事に干渉縞を得ることができます。
そのため、FlatMasterでは、
レーザーの偏光方向が境界面に対して
垂直方向ではなく水平方向に入射するように、
レーザーの向きを固定しています。
レーザー交換時には、偏光の向きを確認するため
偏光板を使用して向きを微調整しています。
なお、先程くせ者扱いした
プリズム表面(参照面)での入射角ですが、
フォローしておきますと、
プリズムが作り出すこの40度という角度のおかげで、
最終的にサンプル表面まで届くレーザー光の割合は元の9割程度確保され、
サンプルへの入射角は反射率の高い78~88度となり、
粗面のサンプルでも干渉縞を得ることを可能にしているのです。
今日はここまで。
本当は、冒頭では
雪面の反射光の偏光方向と偏光サングラスのことに触れ、
冬はスキーに行きたくなりますね、といった、
季節感のあることを書いてみたかったのですが、、、
スキー場へは10年前行ったきりで、、、控えてしまいました。
一段と寒くなってまいりました。皆様ご自愛ください。
今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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