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【 記 事 】

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ローラン展開をしてみましょう 
 
発行:エスオーエル株式会社 
http://www.sol-j.co.jp/ 
 
連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 
2017年7月12日号 VOL.072 
 
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最近、感銘を受けたものに、 
ハミルトンの四元数があります。 
 
四元数の存在は知っていましたが、 
過去の産物、あるいは無駄に難解な人工物 
という程度の認識でした。 
 
しかし、3Dコンピュータグラフィックは、 
四元数なしには語れないことが今更ながら分かりました。 
 
ハミルトンの人生の前半は才能に溢れて華やかですが、 
後半は、この四元数に取り憑かれたのか、少し惨めです。 
 
試しに、四元数の基本公式からいろいろ計算してみると、 
確かにとても魅力的で取り憑かれる気持ちも分からなくはない 
と思ってしまいました。 
 
四元数は、3次元のベクトル解析が発展する際の肥やしのような役割も果たし、 
3Dコンピュータグラフィックでの応用が出るまでは、 
便利で明快なベクトル解析に追いやられたような形になっていました。 
 
また、四元数は、複素数の拡張になっています。 
(複素数というのは、3種類しかない二元数のうちの1つです。) 
 
さて、ここまで四元数の話をしておいて、 
今回は、複素解析の話です。 
 
出張の移動中に、 
四元数のことを考え始めて、なんやかんやで複素関数に流れて、 
ローラン展開の計算をしたメモが残っていたので、 
それを今回のネタにします。 
 
 
複素解析は、あまり使うことがないかもしれませんが、 
その概念が念頭にあると、数学が極端に見通し良くなります。 
 
個別に考えていた初等関数 
(代数関数、三角関数、指数関数、対数関数、それらの組合せ など) 
が統一的に扱えますし、 
微分積分の本質が見えるようになります。 
 
フーリエ変換やラプラス変換にも関係があり、 
伝達関数を考えるのであれば、複素解析は必須です。 
(特に、極やゼロ点が重要です。) 
 
制御系の安定性を調べたり、 
電気回路を考えるときも複素数が役に立ちます。 
 
 
そのような複素数(z=x+iy)について、複素関数を考えるときは、 
複素数 z を入力すると複素数 w の出力が返ってくる関数を考えます。 
 
でもそれだけでは、複素解析で扱う複素関数としては、不十分です。 
なぜなら、2つの実数 (x,y) を入力すると、2つの実数 (u, v) の出力が返ってくる関数 
を考えるのと大差ないからです。 
 
じゃあ、複素解析で考える関数って何?となりますが、 
それをやりだすと、普通の本の順番で面白くないので、 
それは次回以降に書くことにして、 
 
ローラン展開からやります。 
 
 
ローラン展開は、テーラー展開の拡張になっていて、 
ちゃんと理解しようとすると、収束の話とかいろいろ厄介な山があります。 
 
でも、たくさんローラン展開をやってみると、見えてくるものがあります。 
 
 
適当に関数を作って展開してみます。 
 
  f(z) = exp(4z)/(z-1)^3 
 
この関数を見ると、 z=1 のときに分母が 0 になってしまい、 
特異な点になっています。 
 
その z=1 周りでローラン展開してみます。 
 
テーラー展開は、変数 x の非負の「べき」級数(0乗、1乗、2乗 ... と続く)でした。 
一方のローラン展開は、負の「べき」も足し上げる展開になっています。 
 
ローラン展開の負の「べき」の係数が全て 0 であれば、テーラー展開と同じです。 
 
 
では、f(z) の計算に戻って、まず扱いやすいように、w = z-1 としておきます。 
 
  f(w) = exp(4w+4)/w^3 
     = {1+(4w+4)+(1/2!)(4w+4)^2+(1/3!)(4w+4)^3+(1/4!)(4w+4)^4+...}/w^3 
 
ここで、「うわぁー、(4w+4)^n を展開してまとめるの嫌だなー」となりました。 
でも、「あ、そうか」と気づいて、 
 
  f(w) = exp(4w+4)/w^3 
     = exp(4w)exp(4)/w^3 
     = {1+4w+(1/2!)(4w)^2+(1/3!)(4w)^3+(1/4!)(4w)^4+...}exp(4)/w^3 
 
とすれば、簡単でした。 
そして、ここで計算を中断して、考え始めます。 
 
あれ? exp(4w+4) = exp(4w)exp(4) の証明って、どうやるんだっけな? 
 
テストではないので、自由です。 
気になったことを考えます。 
 
こういうのが楽しいのです。 
与えられた問題を解くのは結構苦痛で、しかも頭に残りませんが、 
自分で気になって考え続けて、ふと分かった時が楽しく、頭に残ります。 
 
指数関数 exp(x) の定義は、今思いつくだけでも 5通りあります。 
出発点の定義を一つ決めると、他の定義(候補)は、そこから導かれる性質になります。 
数学とはそのようなものです。 
絶対的な定義があって、レール通りの考え方をしなくてはいけないものではなく、 
もっと自由で、視点や視野を変えるといろいろなものが見えてくるものです。 
 
公式だからとか、常識だとか、先に進めなくなるからと、 
このような小さな立ち止まりをスルーするのはもったいないです。 
 
さて、exp(a+b) = exp(a)exp(b) の証明は分かったのですが、 
今回のローラン展開の話を進めます。 
 
  f(w) = e^4{ 1/w^3 + 4/w^2 + 8/w + (32/3) + (1/4!)(4^4)w + (1/5!)(4^5)w^2 +...} 
     = (e^4)/w^3 + 4(e^4)/w^2 + 8(e^4)/w + (32/3)(e^4) + Σ{4^(k+3)}{1/(k+3)!}w^k 
 
(ただし、Σ は k=1〜∞ を走る。) 
そして、w = z-1 を代入して、f(z)=... と (z-1) の「べき」級数にすれば完成です。 
 
  f(z) = (e^4)(z-1)^-3 + 4(e^4)(z-1)^-2 + 8(e^4)(z-1)^-1 + (32/3)(e^4) 
      + Σ{4^(k+3)}{1/(k+3)!}(z-1)^k 
 
ちなみに、(z-1)^-3 の項が一番小さい次数(-3次)なので、 
このようなとき、z=1 は 位数3の「極(ポール)」であると言います。 
 
 
ローラン展開と極について、 
この計算をやってみるだけでも、感触が掴めるのではないかと思います。 
 
-- 
高野智暢 


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