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【 記 事 】

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投影切断定理とX線CT 
 
発行:エスオーエル株式会社 
http://www.sol-j.co.jp/ 
 
連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 
2017年5月10日号 VOL.070 
 
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 
無料にてメールマガジンを配信いたしております。 
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 
 
 
 
まず始めに、この春に新発売の TomoScope XS をご紹介します。 
 
TomoScope XS は、 
「小型サイズ」「低価格」「低運用コスト」「高出力」「高速スキャン」 
「マイクロフォーカス」「透過型X線管」「高分解能」「高精度」 
を並立した 画期的な Dimensional X線CT装置 です。 
 
こちらのリンクから、最新の情報がご覧頂けます↓ 
 
  http://www.sol-j.co.jp/product/tomoscope-xs.html 
 
是非、お問合せ下さい。 
 
 
 
では本題、ではなく余談に移ります。 
(本題は、短いですが上記の TomoScope XS のニュースでした。) 
 
今回は、投影切断定理とX線CTの関連を 
数式を使わずに大雑把に説明してみたいと思います。 
 
数式を使ったラドン変換の説明は、2011年のメルマガでご紹介しました。 
 
  http://www.sol-j.co.jp/mailmag/a-0003.html 
  http://www.sol-j.co.jp/mailmag/a-0004.html 
 
ラドン変換とは、簡単に言うと、 
「3D形状」→「2D投影画像」 
の変換のことです。 
 
その逆の 
「3D形状」←「2D投影画像」 
は、ラドン逆変換と言います。 
 
 
目的は何かというと、 
現実世界にある「3D形状」を何とかして、 
デジタル情報の「3D形状」としてコンピュータ内に取り込みたい 
ということです。 
 
この目的が直接果たされるのであれば、 
2D投影画像やラドン変換に対する興味は、 
ずっと低いものとなることでしょう。 
 
ラドン変換とその逆変換は、 
「3D形状」と「2D投影画像」の行き来でしかありません。 
 
 
でも、実際には、「3D形状」をそのままコンピュータに 
取り込むことはできません。 
 
幸運にも、X線源とX線ディテクタと回転軸があれば、 
「2D投影画像」をコンピュータに取り込むことができます。 
 
ここで、一つ目の重要な定理があります。 
 
それは、一意性の定理であり、 
「2D投影画像」から「3D形状」を一意的に復元できる 
というものです。 
 
これは、とても重要で、 
「2D投影画像」から復元した「3D形状」は一つに決まる 
ということであり、答えが二つ以上はないということです。 
 
いくら「2D投影画像」が取れて、「3D形状」に復元できても、 
元の3D形状とは別ものになっては意味がありませんから、 
元の3D形状が再現できることが保証される定理は重要なのです。 
 
 
さて、次にぶつかる壁は、 
「2D投影画像」からどうやって「3D形状」を復元しようか 
ということです。 
 
ラドン逆変換をしたらよいというのが答えですが、 
ではラドン逆変換ってどうやったらいいの? 
という実際の課題が残ります。 
 
ここで、とても都合のよい定理があります。 
「投影切断定理」と呼ばれるものです。 
 
まず、「3D形状」から「投影」という操作によって得られた 
「2D投影画像」を 1Dフーリエ変換した「変換画像A」を用意します。 
 
次に、「3D形状」を直接 2Dフーリエ変換した「変換画像B」を用意します。 
 
投影切断定理とは、 
「変換画像A」と「変換画像B」が奇跡的に一致する 
という定理です。 
 
 
この定理だけでは、 
X線CTを使って現実世界の「3D形状」をコンピュータに 
取り込みたいという目的とは少しずれています。 
 
しかし、この定理を図に描いてよく眺めてみると、 
X線CTとの関係が見えてきます。 
 
現実世界の「3D形状」は、X線CT装置によって 
「投影」という操作がなされ、 
コンピュータ内の「2D透過画像」になります。 
 
そして、コンピュータ内で、1Dフーリエ変換すれば「変換画像A」 
が得られます。 
 
さて、「変換画像B」は「3D形状」を 2Dフーリエ変換したもの 
でしたから、 
「変換画像B」を 2Dフーリエ逆変換したものは、「3D形状」に 
なるはずです。 
 
ここで、投影切断定理より、 
「変換画像A」=「変換画像B」だったことを思い出すと、 
「変換画像A」を 2Dフーリエ逆変換したものは、元の「3D形状」です。 
 
しかも、2Dフーリエ逆変換は、コンピュータ内で実行される操作なので、 
出来上がる「3D形状」もコンピュータ内です。 
 
これによって、当初の目的である 
現実世界の「3D形状」をコンピュータ内に取り込む 
ということが実現したわけです。 
 
 
ただ、話はこれで終わりません。 
FFT(高速フーリエ変換)という手法があるので、 
コンピュータにとってフーリエ変換やその逆変換が簡単とはいえ、 
2Dフーリエ逆変換は、1Dフーリエ変換(やその逆変換)に比べると、 
少々大変です。 
 
 
そこで、今回三つ目の定理です。 
 
「2Dフーリエ逆変換」の代わりに 
「フィルタ補正処理」→「1Dフーリエ逆変換」→「逆投影」 
という操作に置き換えても結果は同じ 
ということが証明できます。 
 
これを FBP法(Filtered Back-Projection ; フィルタ補正逆投影法) 
と呼びます。 
コーンビームX線CTの場合は、開発者3人の名前から、FDK法とも言います。 
 
 
「フィルタ補正処理」と聞くと、 
画像をフィルタで変質させる怪しい処理と思われるかもしれませんが、 
ここでのフィルタ処理は、もっと原理的なものです。 
 
数学的には、「ある特定の関数」と「変換画像A」 
のコンボリューション(畳み込み積分)のことを 
「フィルタ補正処理」と呼んでいるに過ぎません。 
 
画像処理工学的には、ある種のフィルタ処理と等価になりますが、 
数学的には、「2Dフーリエ逆変換」を3つの操作に分解したときに 
出てきた「ある特定の関数」によるコンボリューションなのです。 
 
 
ここまで、X線CTの再構成演算の構造を 
文章で書いてきましたが、 
自分で書いておきながら、読み返すのが面倒なくらい 
煩雑な文章になっています。 
 
私は、毎回そうですが、いきなりメルマガの文章化をすることは 
ほとんどなく、まず紙に図を描いて、計算して、全体像を絵に描いて、 
それを見ながら、文章を書いています。 
 
そのため、もしちゃんと文章だけを読んで頂いている方々がいれば、 
大変分かりにくい内容で申し訳ないと思っています。 
 
今回は、上記の内容を絵にしたものを Web にアップしました↓ 
 
  http://www.sol-j.co.jp/html/technical/radon-1.html 
 
絵を見て、何を言っていたのか視覚的に捉えて頂けると幸いです。 
 
 
さて、X線CTでは、画像処理工学で扱われるフィルタ処理が 
重要な役割を果たすことが分かりました。 
 
ここで考えてみて下さい。 
X線CTで高精度な寸法測定を実現するためには、 
 
 ・座標系と位置決めが高精度な三次元測定機ベース 
 ・精密なハードウェアを高精度に組み上げること 
 ・CTの高度なキャリブレーション 
 ・測定機メーカーのノウハウ 
 
が必要です。 
 
もし更に、このような装置を開発するのに、 
画像処理の高度な技術が加わったらどうでしょうか。 
 
X線の2D透過画像を扱うことを考えただけでも、 
画像処理の技術が優位に働くことが想像できます。 
 
今回説明したように、 
CTの再構成演算においても画像処理技術は重要なのです。 
 
特に、ソフトウェア上の再構成演算だけでなく、 
ハードウェアを含めた全体のシステムとして全てを把握している 
ことは大きな特長になるのです。 
 
組み上げたハードウェアから取得される情報は、これもまた、 
インプットに対してある種のコンボリューションになっています。 
 
装置自体が何らかのコンボリューションという操作になっていますが、 
その性質を熟知し、再構成演算で使用しているコンボリューション 
との関係性も掴めていたとしたら、 
他では実現できないような高精度な再構成3D像ができそうです。 
 
 
最後は少ししつこい宣伝になってしまいましたが、 
Werth社という TomoScope を作っている企業は、 
画像処理センサをメインとするマルチセンサ三次元測定機を 
ハードウェアもソフトウェアも含めて 
長年開発製造してきたメーカーだったために、 
X線CTの分野でも優位性を保ち続けているのです。 
 
 
-- 
高野智暢 



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