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対称性と群と2次元回転

発行:エスオーエル株式会社
http://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2015年6月10日号 VOL.050

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おそらく、何かを学ぶときに重要な要素の一つに「慣れ」というものがあるはずです。

ただし、慣れることに重点を置いた学習に問題があるとすると、
慣れたことで分かったつもりになり、
深く掘り下げた本当の理解に辿り着けなくなる危険性があることかと思います。

でも、このメルマガでは、図を使わないという不親切さも手伝って、
そんなに分かったつもりにはなれないが、用語や数式や考え方を
「見慣れる」ということにより、何かの助けになればと思っています。


 私自身の体験を少し書いてみます。
 私の興味は、昔から、「存在とは何か」「空間とは何か」「時間とは何か」
 ということで、私の中では常に大問題です。

 そのうち、数学という言語で記述される物理学がこれらに答えようとしていることに気付き、
 「光(ボソン)」「物質(フェルミオン)」「エネルギー」
 といった対象がそれらに関連して、面白いものだと感じるようになりました。

 今、測定機を扱う仕事をしていますが、何故か非常にこれらの事柄にリンクしています。
 そのような視点で物事を見ているからなのかもしれませんが。

 「空間とは何か」との関連については、この後述べます。

 その前に上述の「慣れ」と「存在とは何か」に関して少し書きます。
 物理学で「存在」の話をすると、ある一定の土台というか回答はあるのですが、
 それ以上深く掘り下げることができず、哲学書を当たるしかなくなります。

 そして、ハイデガーの著書の冒頭の一文
 「たとえ現代が形而上学をふたたび肯定することを進歩だと思っているにせよ、
 存在問題は今日では忘却されてしまっている。」
 を見て、「あ、なるほど」と思えるまでに10年掛かりました。

 やったことは、哲学の用語や考え方を「見慣れる」ということです。

 この本を読めば、長年の疑問に対する答えに一歩でも近づけそうだという
 気持ちはあるものの、なかなか読めない。そこで、時間を掛けて慣れるところから始めて、
 そのうち文章として頭に入ってくるようになってから、
 その意味について考えるという感じに進みます。

 ポイントは、慣れて文章が頭に入っても、意味を理解したわけではなく、
 ようやく考え始めるスタート地点に立つということです。
 考えた結果、意味が理解できないこともあります。

 次は、サルトルの著書の冒頭の一文
 「現代思想は、存在するものを、それらをあらわす現われの連鎖に、
 還元することによって、いちじるしい進歩をとげた。」
 に挑戦中です。

 念のため補足しておくと、その一文だけ読むということではなく、
 その一文に戻ってくるために、その本を読破、あるいはある程度読む、
 そしてそれを実行するために、関連する本を何冊も読むということです。

 結局、デカルトの著書を何度も読み直すはめになりますが、
 あのような古い本でも、読むたびに新しい発見があります。


さて、このメルマガで群について紹介することに、どんな意味があるかは分かりませんが、
群という抽象概念が存在して、対称性とか回転とかに関係があるということが伝われば、
それでよいかと思います。

また、前々回からここまで、群の話をしているのに、群の定義も書かず、
対称性とか、変換とか、不変などといった用語が出てきましたが、
これに関しても、これらの用語が関連して使われるという程度の理解でもよいと思います。


群がどんなものかという感触をもう少し理解するには、
整数が足し算で群になっていることを知るとよいかと思います。

整数同士を足しても整数になり、
(a+b)+c = a+(b+c) のような括弧の付け替えができ、
どんな整数に足してもそれを変えない 0 というものがあって、
足すと 0 になるような相方(a に対する -a)がある
というのが群の性質です。


回転という操作についても、同様の抽象化ができます。

X線CTや三次元測定機の仕事をしているので、
2次元や3次元の回転を考える場面が沢山あります。

「空間とは何か」という興味というか疑念を抱きながら、
空間座標を測定する仕事をするのは楽しいものです。


では、2次元の回転について考えてみます。

まず、XY平面の上に、点 (x1, y1) を考えます。
座標を直交座標から極座標で書き直しておきます。
原点から点 (x1, y1) までの距離 r は、

  r = √( (x1)^2 + (y1)^2 )

になります。
原点と点 (x1, y1) を通る直線とX軸のなす角度をθと書いておくと、

  x1 = r cosθ
  y1 = r sinθ

と書き直すことができます。

これを2次元回転するということは、θ を θ+α にするということです。

回転後の点の座標 (x2, y2) を書き下してみましょう。
極座標において、r は変わらず、θ が θ+α になるので、

  x2 = r cos(θ+α)
  y2 = r sin(θ+α)

です。そして、直交座標表示に直してみます。
三角関数の加法定理を使うと、

  cos(θ+α) = cosθcosα - sinθsinα
  sin(θ+α) = sinθcosα + cosθsinα

ですので、座標 (x2, y2) を x1, y1, α を使って書くことができて、

  x2 = x1 cosα - y1 sinα
  y2 = x1 sinα + y1 cosα

となります。(ここまで出来れば、行列の形に書き直すこともできます。)


最後に、2次元の回転が群になっている雰囲気を見てみましょう。

角度αの回転後に角度βの回転をしたものは、一度にα+βの回転をしたものに一致します。
α+βの回転後にγの回転をしたものは、αの回転後にβ+γの回転をしたものに一致します。
回転しないという角度 0 の回転があります。
角度αの回転後に角度 -α の回転をすると元の位置に戻ります。


慣れると、exp(iα) で回転を考えることもできます。
このように2次元の回転でも書くことが沢山あります。

次回は、3次元回転をご紹介できるといいなと思っています。

--
高野智暢


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