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電子レンズのお話

発行:エスオーエル株式会社
http://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2013年6月10日号 VOL.025

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この連載の前々回に、ちょっとだけローレンツ力について触れました。
そして、ローレンツ力の計算をするためには、
前回にちょっとだけ触れたベクトルの計算に慣れなくてはなりません。

今回は、ローレンツ力の具体的な計算をせずに、
電子の動きがコントロールできる様子を大まかに説明したいと思います。


1) 電子の屈折

光は、屈折率の異なる媒質に入射すると屈折します。
その原理を上手く利用して、光学レンズが作られています。

実は、電子も屈折させることができます。
今、xy平面を考えて、上半分(y > 0)の電位が V1、
下半分(y < 0)の電位が V2 であるとします。

上半分と下半分はそれぞれ電位が一定なので、電子の速度はそれぞれ一定です。
上半分での電子は、速度 u1 で下半分に向かって入射角θ1 で運動しているとします。
下半分に突入した電子は、速度 u2 となり、屈折角θ2となったとします。

y方向は電位が不連続ですが、x方向は等質なので速度は変化しません。
式で書くと、

  u1 sinθ1 = u2 sinθ2

です。(これを式☆とします)
上半分と下半分の運動エネルギーの式を書くと、それぞれ、

  (1/2)m(u1)^2 = e(V1), (1/2)m(u2)^2 = e(V2)

なので、比を取ると、

  (u2)^2 / (u1)^2 = V2 / V1

だと分かります。これを式☆と合わせると、

  sinθ1 / sinθ2 = √V2 / √V1

となります。これが光の屈折におけるスネルの式に対応する、
電子の屈折の式です。


2) 静電式電子レンズ

電位差があるところで電子が屈折することを上手く利用すると、
光学レンズと同じように、電子の進みをレンズを通したときのように
コンロトールすることができます。

等電位面がちょうど凸レンズのような形になるように電場を作ると、
電子が光と同じように凸レンズを通ったときのような動きをします。


3) 磁界レンズ

磁界でも電子レンズを作ることができます。
TomoScopeのX線管にも磁界レンズが入っています。

磁界を作るために、円筒状にケーブルを巻き、コイルを作ります。
すると円筒軸に対して対称で、円筒をぐるっと取り囲む磁場が発生します。

円筒軸に平行で軸から離れたところに電子が入射したとします。
すると、電子はローレンツ力を受けます。
ローレンツ力の方向は、フレミング左手の法則で知られているように、
中指方向が電流(電子の流れと逆方向)、人差し指方向が磁場ならば、
親指方向に力が働きます。

円筒の入り口付近では、円筒軸方向に磁場が向いていますので、
電子は円筒軸の周りをくるくる回りながら円筒内を進むことになります。
(電子の進む方向と同じ方向の磁場からは力を受けません。)

電子が回ると、円筒軸に平行な磁場から力を受けることになります。
つまり電子は、円筒軸に収束しながら、らせんを描きながら進むことになります。

後は、光学レンズと同様に考えることができて、
円筒軸(光軸)に平行に入射したあらゆる電子は、
一点に焦点を結ぶことになります。


もう一つ豆知識をお伝えすると、電子レンズにも収差があります。
TomoScopeのX線管には、球面収差を抑える工夫がなされています。

--
高野智暢


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