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基準スケールのたわみ

発行:エスオーエル株式会社
http://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2012年12月10日号 VOL.019

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丁度2年前、メールマガジンで、
フックの法則から自重たわみ曲線の微分方程式まで、
5回にわたって「保持方法による変形」シリーズを書きました。

 023. 保持方法による変形とフックの法則
 025. 保持方法による変形と曲げ応力
 027. 保持方法による変形とてこの原理
 029. 保持方法による変形とたわみ曲線
 031. 保持方法による変形と自重たわみの見積り

もう2年も経ったのかと思うと、月日の経つのは早いなぁという驚きと、
これまでよく書き続けたなぁという感慨の念があります。


さて、Werth(ベアト)の測定機は、校正作業のときに、
基準スケール(ガラス製の棒にクロムでパターンが描いてある)を画像センサで
読み取って、トレーサビリティの取れた数値を座標系に付けていきます。

X線CT三次元測定機TomoScopeも、
本体の座標系(リニアスケール)は、この基準スケールによって校正されます。

では、基準スケールを置いた際に、自重でたわむ効果はどれ位影響があるのでしょうか。

校正作業の際に、もし上手く性能が出なかった場合、
温度や振動の影響を考えますが、基準スケールの置き方は疑った方がよいのでしょうか?

その見当を付けるために、基準スケールの自重たわみ量を見積ってみます。


計算を全て載せると長くなってしまうので、
考え方は、以前のメルマガ「保持方法による変形」シリーズを見て頂くことにして、
要点だけ書きます。

考える状況は、はね出し単純梁の等分布荷重と呼ばれるものになります。

一本の棒を横たえて、点AとBで支えます。
基準スケールには、クロムで支える位置もマーキングしてありますので、
常にその位置で支えることとします。

棒の左端を点C、右端を点Dとします。

CA間の距離をa、AB間の距離をLとします。BD間の距離もaです。
a = 95mm、L = 240mm です。

ヤング率は、E = 0.7×10^4 kg/mm^2 を使います。

棒の断面は、一辺が b、もう一辺が h の長方形です。
b = 20mm、h = 10mm です。
従って、断面二次モーメントは、I = bh^3 / 12 = (10^4 / 6) mm^4 になります。

棒の重さ W = 0.22kg なので、等分布荷重 w は、
W = w×(L+2a) = 430w = 0.22 kg より、
w = (0.22 / 430) kg/mm です。

釣り合いの式を立てて、計算していくと、
点AとBでの反力 R は等しく、
 R = ( w(a+L)^2 - wa^2 )/(2L)
です。

また、断面にずれが生じないように抵抗する力として、せん断力 Q が働きますが、
点AとBで、それぞれ、
 Q_a = R - wa ,
 Q_b = wb - R
となります。

点AとBの曲げモーメントも等しく、
 M = -(wa^2)/2
です。
AB間で、点Aからxの位置の曲げモーメントは、
 M_x = Rx - w(a+x)^2 /2
です。

点Aの回転角θを導入すると、
 θ = wL(L^2 - 6a^2)/(24EI)
として、

点Cのたわみ量 δ_C は、

  δ_C = ( wa^4 /(8 EI) ) - θa ,

そして、AB間中央のたわみ量 δ_o は、

  δ_o = ( 5wL^4 /(384 EI) ) - ( 2ML^2 /(16 EI) )

となります。数値を代入すると、

  δ_C = 0.3 μm ,
  δ_o = 3.3 μm

と計算できました。

さて、中央点o (点Aから120mmの点) で 0.0033mm たわむとすると、
点Aから120mmを上から画像で読んだ際に、支えのない状態に比べて
どれ位長さが変わって見えるかという量 Δ を見積ってみます。

点AとBを結ぶ直線 と 点Aと点oを結ぶ直線 の成す角をφとすると、
sinφ = 0.0033 / 120 より、φ = arcsin(0.0033 / 120)、
従って、

  Δ = 120 - 120×cosφ ≒ 0.05 nm

です。
TomoScope のリニアスケールの分解能が 0.1μm = 100nm なので、
Δ は取るに足らない量だと分かります。

Werthの三次元測定機の最上位機種 VideoCheck UA でも、
リニアスケールの分解能は 1nm なので、Δ は十分に小さいです。

点Cの位置のたわみ量も同様に、十分小さいことが確かめられます。


このような計算は、確かに面倒ですが、
問題があったときに、計算せずに実験だけで原因を切り分けようとすれば、
それ以上の手間と時間がかかることが容易に想像できます。

--
高野智暢


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